インドネシアで仕事をする時の小話的アドバイス 【親切な材料払い出し窓口】
材料や部品を倉庫から払い出す時は必ず伝票を発行すること。現物と伝票は必ず一致していること。これはどこの会社でも当たり前のことです。
しかし、倉庫事務所に融通を利かせる親切な受け払い担当者がいました。『急いでいるので伝票を書いている暇がない』『じゃあ伝票は後でいいよ』、『一箱もいらないよ、欲しいのは50個だよ』『じゃあ残ったのを後で返してくれればいいよ』、というようなことが時々あったようで、棚卸の時になると数が合わない。担当者に言わせると、“後で”帳尻を合わせれば良いと思ったのだそうです。
この“後で”と言うのはインドネシア語で“Nanti saja”と言うのですが、仕事の中でこの言葉が使われた時は、だいたい“後で”問題が起きるのです。いや、仕事たけでなく、年を取ると“後で”と考えたことはほとんどそのまま忘れてしまい、“後で”とんでもない問題になって蒼くなることがあります。
そこで、倉庫を管理している部門の従業員を集めて、なぜ伝票と現物は一致していなくてはいけないのか、という勉強会を開くことになりました。予想した通り、誰もその理由を正しく説明出来ませんでした。ほとんどの回答は『ルールだから』、『盗まれてはいけないから』、『棚卸の時に数が合わなくなるから』等の表面的なものばかりでした。
結局、なぜ棚卸をするのか、会社の存在意義は何か、というところまで説明しなくてはならなくなり、全員は無理としても、リーダー格の社員だけでも理解してもらうために、悪戦苦闘したものでした。しかし、少なくとも職場のリーダーさえ理解しておれば、彼が部下のレベルに合わせて時折々指導してくれるので、効果は十分に出たと思います。
Nanti saja(後でいいよ)、Tidak apa apa(なんでもないよ)、Kira-kira saja(だいたいでいいよ)、Mudah-mudahan(そうであればいいね)・・・・これらの言葉は人間関係を円滑にするとても心地良い響きを持っています。これらを会話の中に頻繁に使うインドネシアの人達の優しさを感じます。
しかし、心を鬼にして、仕事の中では禁句にしました。