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2013.03.04 出島『海外ビジネスコラム』原稿

インドネシアで仕事をする時の小話的アドバイス 【採用試験用紙の不足で騒ぎ】

 通りの向かい側の工場正門周辺で、大勢の若者が集まって騒いでいました。事情を確認したところ、ワーカーの募集広告を新聞に掲載したところ、定員の100倍くらいの応募者が押し寄せ、会場にはとても入りきれないのと、試験用紙も全く足りなとのことで、試験会場はパニック状態になっているとのことでした。自社の幹部スタッフからは、ワーカーの募集を新聞に載せると大変なことになると、以前から言われていたのですが、実際に目撃してみてその意味を実感した次第でした。

 仮に従業員の募集が必要であっても、正門に募集広告を貼ることもしませんでした。それでも守衛所には毎日10名以上の就職活動をしている若者が、履歴書などの書類一式をバインダーに入れて置いて行くので、まずはそこに溜まった書類の中から、条件に合った者を選び出すことにしていました。

 それでも不足する場合は、管轄の労働局に出向いて募集条件を提示すると、それに合った者の書類バインダーを抱えきれないほど渡してくれました。中には守衛所に置かれたものと重複しているものもあったので、複数個所に置いて回っていることは明らかでした。

 書類選考の後に、数学とインドネシア語の学力テスト、適性試験、健康診断を行い、最後に面接を実施したのですが、高校卒業の場合、ほとんどの人が20歳を過ぎており、卒業してからの間は、毎日のように履歴書を持って就職先を探していたと答えるのを聞いて、若者に雇用機会を与えることがこの国の最優先課題であると痛感したものでした。

 ジャカルタ東部の工業団地群では、自動車関係の日系部品製造企業が大挙して進出したこともあり、オペレーターの採用にも苦労していると聞きます。上記のような一昔前の状況からは信じられないことですが、これは一部地域の特殊事情であり、インドネシア全体では毎年500万人の新卒が仕事を求めて社会に出て来ているのに対し、2012年の失業率は約6%と言われています。これは総人口2億4万人の中の就業者数1億2千万人中、700万人以上が失業していることを意味します。

 インドネシアではこれからも失業問題が時限爆弾のように社会の不安定要素として存在するでしょう。従業員の採用に際しては、これらの社会背景を忘れてはなりません。

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