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2013.03.15 業種別投資環境

2. 林業分野

 本書はインドネシア共和国大統領令2010年36号、投資において閉鎖されている事業分野、及び条件付きで開放されている事業分野リストに沿って、それらの投資条件を解説すると共に、各事業分野の技術開発、サプライチェーン、マーケットなどについて、現地駐在当時の経験、その後の現地調査、現地政府機関および業界団体組織からの情報、テレビなどのメディア情報そしてインターネット上の情報を基にまとめたものです。

 尚、投資において閉鎖されている事業分野、及び条件付きで開放されている事業分野についての解説は簡略的にまとめてありますので、詳細は日本語版オリジナルリストにて確認することをお薦めします。

 基になっている大統領令2010年36号は、投資環境の向上や競争力の強化を目的として、2013年第3四半期をめどに改定される予定ですが、変更の程度に合わせて本書を改定することも考えられます。

2-1. 投資が閉鎖されている事業分野

ワシントン条約(CITES)付属書Iに記載された魚類の捕獲
解説:今すでに絶滅する危険性がある生き物で、ジャイアントパンダ、トラ、ゴリラ、オランウータン、シロナガスクジラ、 タンチョウ、ウミガメ科の全種など約900種の動植物の、商業のための輸出入は禁止されています。特にインドネシアはカリマンタンに生息するオランウータンの被害が心配されています。

建材/石灰/カルシウム、土産/装飾品用の天然珊瑚/生きた珊瑚または死んだ珊瑚の採取
解説:インドネシア東部の諸島は珊瑚礁の宝庫と言われており、その保護に力を注いでいます。

2-2. 投資が条件付きで開放されている事業分野

森林の動植物の捕獲と流通など、製材業(年間生産能力2000m3まで)、ラタンやマングローブの一次加工など
解説:中小・零細企業、協同組合のため留保される分野で、インドネシア組合・中小企業省の定義によると、小規模・零細企業とは、土地・建物を除いた資産が2億ルピア以下で年商が10億ルピア以下、中規模企業とは、土地・建物を除いた資産が2億超から100億ルピアまでとなります。

ラタン、マツの樹液、養蜂業、天然シルクなど、森林の天然資源を利用した事業
解説:インドネシア人またはインドネシア法人とのパートナーシップ(合弁に限らない)が義務付けられます。

狩猟事業、動植物の繁殖事業など
解説:外資は最大49%までに制限されます。

森林域内での施設、活動、エコツーリズムなどのネイチャーツーリズム事業
解説:外資は最大51%までに制限されます。

森林、海中に生息する動植物の捕獲や流通
解説:林業大臣の推薦状などが必要となります。

製材(年間生産能力2000m3超)、合板、チップボードなどの木材産業
解説:継続的に原材料供給のための林業大臣の推薦状が必要となります。

森林開発事業(伐採、搬送、販売、植林など)
解説:内資100%企業に限定されます。

2-3. 技術開発

1968年のスハルト体制以降、木材産業に対する政府の方針は、森林開発による丸太の輸出から始まり、その後は森林資源の保存と国内での付加価値確保を目的にした、丸太の輸出禁止による製材品や合板の輸出促進、そしてさらには家具などの最終製品へと変遷して来ました。

高品質で高付加価値な木材加工品を目指して官民が協力して技術開発に力を入れていますが、未だにオーストラリア、ニュージーランドのレベルに達していないのが実情です。

2007以降、政府が最も力を入れている研究開発分野は、河川流域の管理ならびに、森林および重要地域の再生で、2011年には95項目の活動が展開されました。

2-4. サプライチェーン

2011年の国内全体での丸太伐採量は47百万㎥で、その半数弱をスマトラ島が占めています。カリマンタン島は1割強と、島の大きさの割に少ないのが意外です。

2011年の国内全体での合板の生産量は3百万㎥で、その半数弱がカリマンタン島ですが、昔から木材の集積基地である東ジャワに、0.6百万㎥が集中しているのも特徴的と言えます。輸出先の上位4国は、日本、中国、サウジアラビア、台湾で、全体の約7割を占めています。

2011年の国内全体での製材品の生産量は6百万㎥で、その8割近くはスマトラ島のリアウ州が占めています。輸出先の上位4国は、中国、日本、マレーシア、アメリカで、全体の約8割を占めています。

2011年の国内全体でのチップボードの生産量は2百万㎥ですが、その7割は東カリマンタン州が占めています。

インドネシア合板協会には129社が加盟していますが、多くは華人系財閥の傘下で、その中にはスハルト政権下で森林王と謳われたBob Hassan氏が設立したBarito Pacific社もあります。

日系企業では住友林業が1970年に東ジャワ州で最初の合板工場を設立し、その後、中部ジャワでチップボードの工場を設立し、国内市場ならびに輸出向けに生産を行っています。

日本の多くの商社も森林開発、丸太および木材製品の輸出には古くから関わって来ました。

2-5. マーケット

輸出金額のほとんどを占める合板とパルプの2007年から2011年にかけての推移は、合板が14億ドル/160万トンから20億ドル/190万トンに、パルプが10億ドル/240万トンから15億ドル/300万トンへと増加しています。

中でも中国向けの増加率は大きく、2007年から2011年にかけて、0.5億ドル/0.9万トンから2億ドル/28万トンに増えています。

2-6. 主要な情報源

インドネシア林業省

インドネシアビジネスサポート