10. 運輸分野
本書はインドネシア共和国大統領令2010年36号、投資において閉鎖されている事業分野、及び条件付きで開放されている事業分野リストに沿って、それらの投資条件を解説すると共に、各事業分野の技術開発、サプライチェーン、マーケットなどについて、現地駐在当時の経験、その後の現地調査、現地政府機関および業界団体組織からの情報、テレビなどのメディア情報そしてインターネット上の情報を基にまとめたものです。
尚、投資において閉鎖されている事業分野、及び条件付きで開放されている事業分野についての解説は簡略的にまとめてありますので、詳細は日本語版オリジナルリストにて確認することをお薦めします。
基になっている大統領令2010年36号は、投資環境の向上や競争力の強化を目的として、2013年第3四半期をめどに改定される予定ですが、変更の程度に合わせて本書を改定することも考えられます。
10-1. 投資が閉鎖されている事業分野
運送サポートサービス
解説:人または物の、空、海、陸での運送をサポートするサービスで、陸上ターミナルの設置と運営、重量検査所の実施と運営、船舶航行の支援設備/通信、船舶交通情報システム(VTIS)、航空管制業務を含みます。
原動機付きの車両型式検査および定期検査の実施
解説:検査には製品設計、製品、サービスおよびプロセスが含まれます。
10-2. 投資が条件付きで開放されている事業分野
国内外向けの各種海上および水上輸送サービス、ならびに港湾・空港などにおける輸送関連サービス
解説:外資は最大49%までに制限されます。
路線バス、長距離バス、一般向け海上航路
解説:内資100%企業に限定されます。
タクシー
解説:アセアン諸国の投資家対象の外資比率及び地域限定が適用されます。
商用航空輸送
解説:外資は最大49%までに制限され、さらにインドネシア側は単体で51%以上であることが条件となります。
10-3. 技術開発
現在のインドネシアにおける運輸上の最大の課題は、首都ジャカルタの交通渋滞の解消です。毎日94万車のうち約65%がジャカルタ周辺の高速道路に出入りしております。
解消策として計画されているのがモノレールで、土地の買収が最小限で済むことから最優先で検討されています。
これが実現されると、ジャカルタの最大ベットタウンとして成長している東ブカシからの通勤時間が、自家用車で最悪3時間と言われているのが24分に短縮されるだけでなく、年間の燃料節約代金も全体で1.5兆ルピア(約150億円)と期待されています。
10-4. サプライチェーン
2009年時点で、バスターミナルは全国に545カ所存在し、州をまたぐ長距離バスの台数は18,911台です。
2009年時点で、鉄道駅舎は全国に579カ所存在し、そのうちジャワ島内が441、スマトラ島内が129です。全国の鉄道距離は4,375Kmで、ジャワ島内が3,327Km、スマトラ島内が1,348Kmです。長距離列車の年間利用者数と貨物量はジャワ島内で202,907人および4,137トン、スマトラ島内で4,223人および14,773トンです。
2009年時点で、港湾は全国で1,906カ所存在し、船舶の入出港総数は10,029で、国内船9,164、外国船865となっています。コンテナーの取扱量は20フィートBOX換算で約8百万本です。
2009年時点で、空港は大小合わせて全国に219カ所存在、ジャンボジェットが離着陸可能な空港は10カ所です。国内便は約百万機で利用者数は73百万人、貨物80万トン、そのうち約16万機と28百万人、21万トンがジャカルタ空港を利用しています。国際便の総数は約12万機で利用者数は16百万人、貨物30万トン、そのうち約5万機と8百万人、22万トンがジャカルタ空港、3万機と5百万人がバリ空港を利用しています。
日本航空と全日空が成田とジャカルタ間に直行便を毎日一便運航しています。また、ガルーダ航空は成田・ジャカルタ間と、成田・バリ間に直行便を毎日一便運航しています。
日本のほとんどの大手海運会社はインドネシアにおいて輸送取扱サービスの現地法人を設立しています。
10-5. マーケット
2005年から2009年にかけて、長距離バスの利用者数は減少傾向にあり、これは自動車の普及による影響と考えられます。
海上輸送では国内貨物が2005年から2009年にかけて、約40%増加しているのが目立ちます。
国内定期航空便の総飛行距離は2005年から2009年にかけて、2倍近くまで伸びており、利用者数も約50%増加しています。しかし、年間の重大事故件数も8件から15件に増えています。
10-6. 主要な情報源