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2017.05.23 インドネシア進出、成功と失敗の分岐点

インドネシア進出、成功と失敗の分岐点-4 用地取得および工場建設

 製造拠点を構築する場合、大規模な工場を必要とする場合を除き、500㎡から3,000㎡くらいの広さの工場建屋で生産活動を始めたいとするケースが多くあります。

 その場合、以下のような選択肢が考えられますが、上から順に当初資金負担は少ないのですが、逆に制約が多いのが実情です。立上資金を節約するあまりに、操業してから必要以上の苦労をしないように気を付けなくてはいけません。

 ① 工場地区または倉庫地区の賃貸物件を借りる場合

 ジャカルタ周辺地区(JABODETABEK)の物件はだいたいUS$200/㎡月からUS$500/㎡月で契約出来ますが、安い物件ほどアクセス道路の状態が悪く、建物自体も決して良いとは言えません。
 住宅地に隣接している物件が多いため、騒音や有害廃棄物を出す仕事には向いていません。構造も倉庫レベルですので、床の強度は2ton/㎡以下がほとんどで、天井クレーンの設置は期待出来ません。

 ② 工業団地内に用意されたレンタル工場を借りる場合

 ジャカルタ東方30Km地点から70Km地点に広がる工業団地内には500㎡~3,000㎡くらいの広さのレンタル工場がたくさん用意されています。
 レンタル料金はUS$600/㎡月からUS$1,000/㎡月と上記よりは割高ですが、工業団地の管理会社が運営している場合、会社立上やその後の運営に対する様々なサポートサービスを提供しているところが多いので、安心感があります。
 しかし、メッキ処理漕や重量機械を設置出来るところは無く、天井クレーンの設置が可能な物件も限られます。

 ③ 工場地区に用地を取得して自前の工場を建てる場合

 工業団地ではないが、工場建設も認められている土地を購入して自前の工場を建てることが出来ます。但し、土地そのものを取得するのではなく、期限付きの土地利用権を取得することになります。利用権が全く新しい場合は期限が30年で、その後20年は手続き費用だけで延長出来ると言われています。その後については再契約することで更に30年延期出来ると言われています。
 多少の不便を我慢して都市部から離れた田舎に土地を安く買って、工場建屋も簡素なも(US$200/㎡~US$500/㎡)ので済ませるケースが多いのですが、土地の購入手続きや建設許認可など地方によって異なることが多く、思わぬ費用や時間がかかることを覚悟しておかなくてはなりません。
 また、立上後も周辺住民とのお付き合いや様々なトラブルについても自分で対処しなくてはいけないことを予め覚悟しておく必要があります。

 ④ 工業団地内の土地利用権を取得して自前の工場を建てる場合

 ジャカルタ東方30Km地点から70Km地点に広がる工業団地内の他に、中部ジャワ州都スマラン地区や東部ジャワ州都スラバヤ地区にも多くの工業団地が展開しています。
 土地の値段はUS$100/㎡~US$200/㎡と普通の土地に較べて高いのですが、生産拠点としてのインフラが整備されているだけでなく、会社立上やその後の運営に対する様々なサポートサービスを提供しているところが多いので、安心感があります。
 さらに十分な品質の建屋を建築したいと望んだ場合はUS$1,000/㎡くらいの建設費用は必要でしょう。

 工場建設のゼネコンを選定する際にも費用を節約するためにローカルの業者を使うことも可能ですが、価格と品質は比例すると考えておくべきでしょう。

 また、日系のゼネコンであっても現場の作業はローカルの下請業者が請け負うため、安心しきってはいけません。日本人の監督者がしっかりと監督しているのか、オーナーの立場でその日本人を監督することを忘れてはなりません。