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2018.04.06 インドネシア進出を検討している社長さんへのメッセージ インドネシア進出準備

インドネシア進出の三大リスク

インドネシアに進出する日系企業にとって三つの大きなリスクがあると考えています。一つは税務調査、一つは労働組合、そして一つは医療問題です。

① 税務調査と言うリスク

 インドネシアのGDPと国家予算は日本の約1/5なのに対して、税収は約1/10です。そのため税務署職員に対する政府からの圧力はとても高いようで、彼らも徴税に必死になる訳です。
 そこで目を付けられるのがコンプライアンスとか言って真面目に税務対応をしている日系企業です。その代表的な手法が移転価格と称するもので、本社から不当に高く材料を輸入し、不当に安く製品を輸出して、インドネシア現地法人の利益を不当に少なくしただろうと因縁を付けて来る訳です。
 現地の企業はその辺の勘所は良くわきまえていますから、するりと逃げるか、または姿を隠す等で上手く乗り切る訳ですが、正直者が馬鹿を見る立場の日系企業はコンプライアンスと言う呪縛により獲物にされてしまうのです。まあ、インドネシアの経済に貢献したと割り切れる範囲内なら諦めも付くでしょうが、時として信じられない追徴金を突き付けられることもありますので、現地の税理士と良く相談してから確定申告をすることです。

②労働組合と言うリスク

 最近の日本では労働組合による大規模なストやデモがほとんど見られなくなりましたが、インドネシアではまだまだ盛んに行われています。労働者の生活レベルが現在の2倍から3倍くらいにまで向上しない限りこの状況は続くのではないかと予想しています。
 最も危ないのは『我が社では労働組合結成の動きは無いし、会社としても作らせない』と頑張っている日本人の社長さんの誤った考え方です。まずは以下のインドネシア労働組合法の骨子を理解して下さい。ある日突然、組合を作られても知りませんよ・・・・

●労働組合についての定義は労働法2003年第17号第1条で規定されている。
●労働組合の機能については労働法2003年第17号第102条および労働組合法2000年第21号で規定されている。
●労働組合連合は三つ以上の労働組合連盟で構成され、労働組合連盟は五つ以上の企業内労働組合で構成される。
●企業内労働組合は10名以上の従業員で構成される。
●会社の従業員は毎月Rp.1,000からRp.5,000の組合費を支払うことで誰でも労働組合に参加することが出来る。
●組合員になることで従業員としての権利がより強く保証される。
●従業員は会社内の一つの労働組合にしか参加出来ない。
●一つの労働組合は一つの労働組合連盟にしか参加出来ず、一つの労働組合連盟は一つの労働組合連合にしか参加出来ない。
●組合員は労働組合員であることを辞めることが出来、辞めさせることも出来る。
●労働組合結成の通知と登録の方法は労働組合法2000年第21号第18条から第24条で規定されている。
●労働組合、労働組合連盟ならびに労働組合連合は会社との間で労働協約を交わし、労働者を代表する権利を持つ。

③ 医療問題と言うリスク

 インドネシア、特に首都ジャカルタの医療環境は年々良くなっているようです。年に一回の健康診断にシンガポールまで出掛けていた時代に比べたら遙かに良くなっているのでしょう。
 しかし未だに引っ掛かるのは政府高官や金持ちが病気治療をする時は、今でも海外の病院に行くという実態です。どうして自国の立派な病院で治療を受けないのでしょうか?建物や医療設備は先進国と同等、いやそれを上回るくらい立派ではないですか。なのにどうして・・・?医師のレベルが低いのでしょうか?私は正確なことは判りませんが気になります。
 そして病気ではなくて大きな事故の被害者になった場合の救急医療は昔と何も変わっていません。まず救急車が来てくれるのかどうか判りません。事故現場に向かったとしても大渋滞に阻まれて迅速に運べるのか心配です。ニュースで時々事故現場の犠牲者を見ますが、大勢の野次馬に見られて、新聞紙をかけられたまま放置されているのがもし自分だったらと思うとゾッとします。そして加害者にどれだけの補償能力があるのかも判りません。