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2018.08.12 最近のニュースに私的コメント

2019年4月の大統領選挙候補

 2019年4月に5年毎の次期大統領と副大統領の選挙が行われるが、その立候補者が正式に決まった。結局のところ、大統領候補は前回の選挙で一騎打ちを行った現職のジョコウィドド氏とプラボウォ・スビアント氏になったが、それぞれの副大統領候補は(私にとっては)意外な人選になった。
 まず現職で二期目を狙うジョコウィドド氏はイスラム穏健派組織であるMUI(インドネシアイスラム指導者評議会)議長のマアルフ・アミン氏を選んだ。そしてプラボウォ・スビアント氏は現職のジャカルタ特別州副知事であるサンディアガ・ウノ氏を選んだ。
 ジョコウィドド氏、通称ジョコウィ大統領は保守的なインドネシア人からは、親中派であり、経済を牛耳っている華人系インドネシア人に有利な政治を行っており、そしてイスラム勢力を抑圧していると批判されて来た。今回の副大統領候補にマアルフ・アミン氏を選んだのは、そのような批判をかわすためではないかとも推測される。
 プラボウォ・スビアント氏はそのような保守派の期待を背負っていると思われるが、サンディアガ・ウノ氏を選んだのには驚いた。プラボウォ・スビアント氏は30年間続いたスハルト強権政治の申し子で、当時のスハルト大統領の長女と結婚し、スハルト大統領の強権政治を支える陸軍の特殊部隊を指揮していた人物なので、もしも1998年の暴動事件がなくてスハルト政権が続いていたならば、間違いなく義父の後を継いで大統領になっていたと言われている。このことが氏のイメージを強権政治と結び付けているとしたら、それを払拭するために若くてビジネスマン出身のサンディアガ・ウノ氏を選んだ理由なのかもしれないと考えてしまう。
 いずれにしても、昨今のインドネシアは過激化するイスラム勢力と、中国共産党の影が見え隠れする華人勢力との権力闘争という局面が強く感じられる。その意味で、2019年4月の大統領選挙は2004年の第一回目の国民による直接選挙の大統領選挙に続いて、今後のインドネシアの進む道を占うのに重要な選挙になると思われる。