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2018.11.07 インドネシア進出を検討している社長さんへのメッセージ

インドネシア進出で成功する企業、失敗する企業

 2018年10月30日に一般社団法人日本インドネシアビジネス協会の設立記念セミナーが浜松市内で開催され、副理事長に就任した私は『インドネシアで成功する企業、失敗する企業』と題する講演を行いました。
 当日は地元の企業経営者、政府機関、金融機関、教育機関から50人以上の参加者があり、インドネシア投資調整庁BKPMの東京事務所長からも祝辞を頂きました。
 二次会の懇親会も多くの方々に参加して頂き、大いに盛り上がった設立記念イベントとなったことに、関係者の皆様には心から感謝致しております。
 さて、私の講演ですが、1975年にヤマハ株式会社、当時の日本楽器製造株式会社に入り2005年に50歳で早期退職するまではほとんどがインドネシア工場の運営と新設に関わる仕事で、その後は独立コンサルタントとして100社近い中小企業のインドネシア進出を支援する仕事に関わって来た経験を基に、以下の8つの観点からインドネシアで成功する企業と失敗する企業にはパターンがあると言うような話をしました。

1.進出決断までの経緯
2.進出形態の選択
3.現地トップは何でも屋
4.インドネシア人スタッフ
5.現地調達の壁
6.インドネシアの三大カントリーリスク
7.朝令暮改の法律に慌てない
8.本社社長のインドネシア理解

以下、それぞれの観点についての話の要旨を述べてみたいと思います。

1.進出決断までの経緯

 日本であろうがインドネシアであろうが、利益を生まない事業は失敗しますが、決断する際にちゃんと精度の高い数字に基づく試算をしたのかどうか怪しい事例が結構多くあります。5年経っても5%以上の純利益が得られないのであれば、投資金額をインドネシアの銀行に定期預金した方がはるかに楽で利口な方法です。定性的な話に魅かれて、定量的な評価を疎かにすると大変危険です。

2.進出形態の選択

 単純な輸出から合弁会社設立による進出まで色々な方法がありますが、製造分野の中小企業の中には独資の他に方法はないと考えているケースもあるようです。また、現地資本との合弁会社設立はメリットとデメリットがあることを良く検討した上で進めないと後から苦労することになります。一目惚れで結婚して後悔することのないようにしたいものです。

3.現地トップは何でも屋

 日本の社長は補佐してくれる社内外の専門家が既に存在しているのが普通ですが、新たな現地法人のトップは日本の社長よりも幅広い守備範囲を持つことになります。さらに外国語でのコミュニケーションがベースになります。これがどれだけ大変なことなのか、理解した上で社員を駐在させているのか疑問に思えるケースが多々あります。一番問題なのは、その大変さを理解出来ない本社の社長の感覚なのです。

4.インドネシア人スタッフ

 日本人が楽をするために日本語の出来るインドネシア人を優遇することは、色々な問題を引き起こす原因となります。あくまでもその人物の資質を重視して採用することが大事です。コミュニケーションの問題は日本人がインドネシア語を勉強すれば良いだけの話です。

5.現地調達の壁

 インドネシアでの部材の現地調達は政治がらみの障害が多く、最初に進出した輸送機器業界も現在のレベルに達するまでに50年の歳月を要しています。インドネシア政府も方針を変えつつありますが、時間のかかる大変なテーマです。

6.インドネシアの三大カントリーリスク

 現在のインドネシアは民主国家であり、特にジャカルタの街並みだけを見ていると先進国並みの環境にあるような錯覚を起こすかもしれません。しかし、実際には日本では想像出来ないリスクが、税務、労組、安全の面で潜んでいることを忘れてはなりません。 

7.朝令暮改の法律に慌てない

 日本人は真面目ですから、インドネシア政府が出す法律や規制にはすぐに対応しなくてはいけないと思いがちです。しかし、多くの場合は施行面で不備な場合が多く、酷い場合はいつの間にか消えてなくなってしまいます。日系だけてなく、ローカルの人達の対応も見ながら慎重に対処することが大事です。

8.本社社長のインドネシア理解

 今の世界はより速くより深い関係を持ちながら変わっています。インドネシアと日本の両国だけの関係ではなく、世界全体の動きの中で両国の関係がどのように変わって行くのかを考えるのも本社の社長の責務であると考えます。