日本人、インドネシア人、中国人、アメリカ人
学校を卒業してからは仕事柄、日本以外の色々な国の人達と付き合って来た。特に付き合いが長くて多いのがインドネシア人で、その次がインドネシアの華僑を含む中国人、そしてアメリカ人である。他にも僅かではあるが、インド人、ベトナム人、スリランカ人、ニュージーランド人、オランダ人、ドイツ人等との付き合いもあったが、前記の三国民に較べると無いに等しい。
逆にこれらの国々の人達と付き合うことで、日本人のことも客観的に良く視ることが出来るようになった。そして最近になって、この四ヶ国の国民の特徴と言うか国民性が、自分なりに多分こうなのではないかと考えられるようになって来た。
まず日本人であるが、とにかく物事に几帳面で、何事も細部にわたりきちっと仕上げないと気が済まない人達である。いや、それが当たり前と思い込んでいるのである。だから、それが出来ない他国民のことを馬鹿にしたりもする。
この特徴はモノ作りにとって大事なことであり、だから日本のモノ作りは世界にその名を知られているのである。ドイツのモノ作りも立派であるが、繊細さという面ではとても日本には及ばない。日本人はこれからもこの分野で優位性を保つことに努力しなくてはいけないと痛感している。
次にインドネシア人であるが、自然の恵みをこれほど多く与えられた国民は世界のどこにもいないと思われる。熱帯といってもさほど暑くはなく、一年中を薄着で過ごせる気候。土地は豊かで農作物や果実には困らない。15,000にも及ぶ島々からなる海域には溢れる様な魚介類が生息する。鉱物資源もどこかを掘ると何かが出て来る始末。
何もしなくても天の恵みで生きていける。だから運を天に任せるような生き方が出来る。日本人のように厳しい季節変化に合わせてあくせくと働く必要など何もない。大地や海の自然に合わせて生きる能力があれば良い。
そして中国人である。6,000年以上前の昔、黄河と長江の間にある太原に商と呼ばれる王国があったらしい。ここの人達はあちらで仕入れた物を、こちらで売り払い、その利ザヤで儲ける才能があったと言われている。この人達を他の人達は、この才能がある人達を商人と呼ぶようになったらしい。
インドネシアにいる華僑は人口比率は3%くらいであるが、インドネシアの経済全体の90%を支配していると言われている。まさにこの才能が活かされているのである。
大陸の中国本土は世界の工場と言われているが、モノ作りを追求しているのではなく、商売のためのモノを大量に作っていると言うのが正しい表現であろう。
だから彼らは平気で技術を盗み、当然のように偽物を大量に販売する。彼らに日本人のモノ作りのルールや感性を訴えても馬耳東風、馬の耳に念仏なのである。
最後にアメリカ人であるが、彼らには無限に近い資源があり、土地も海も豊かで、先端技術を生み出す力も有している。まさに最強の国家であることは今後しばらくは変わらないであろう。
そのような総合力を背景に彼らが得意とすることは、自分達に有利なルールの押し付けである。それは政治、経済、金融、軍事、文化とあらゆる分野に及ぶのである。そのルールを通じて益々自国の利益が増えるという仕組みを回している。
それに従わない国はいろいろな理由の下に軍事的、経済的な制裁を受けて、酷い場合は国を亡ぼされてしまう。これはイギリスが植民地政策で行って来たことで、現在のアメリカはそれを継承しているだけである。
面白いことにこれら4カ国の特徴は士農工商の四文字で表される。士以外の現在の上下関係は必ずしもこの通りではないと思うが、案外近い将来にはこの通りになっているのかもしれない。