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2020.04.28 インドネシアでの仕事のアドバイス

臭いものには蓋をする

日本の工場では問題が発生したら『なぜ?』を5回繰りえして真の原因を追及せよと教えられます。

木工加工職場では木屑が大量に飛び散り、製品の化粧面を重ね合わせた際に擦り傷が付いて困りました。

従業員に改善提案をさせてみたのですが、改善策は『刷毛を持った清掃担当を配置して、積み重ねる前に木屑を取り去る』という類のものがほとんどでした。

木屑が飛び散らないように、集塵装置を改良しようという発想は出ませんでした。
 

また、職場を綺麗にしましょうと言うと、まず提案されるのが、機械設備のペンキを塗り直すことでした。

汚れの原因を突き止めて、それを排除するという発想がなかなか出てこないのが残念でした。

彼らからしてみれば『そこまで根を詰めなくてもいいではないか、もっと気楽にやろうよ』と言いたかったのかもしれません。

日本のように気候がめまぐるしく変わり、猛暑の夏が過ぎたと思えばすぐに厳寒の冬がやって来る生活環境では、何か問題が起きた場合に、その根本原因を解決しておかないと生存そのものが危ぶまれるという感覚が、DNAに刷り込まれているのかもしれません。

その一つの表れが臭いものには蓋をするのではなく、なぜ?を5回繰り返して真の原因を追及するという知恵なのかもしれません。

これに対してインドネシアの気候は、乾季と雨季の違いはありますが、一年中が同じような毎日の繰り返しです。

しかも、年間の平均気温が28℃ですから、見栄さえ張らなければそんな立派な住居や衣服は不要で、しかも、バナナやココナッツさえ近くに生えていれば直ぐに飢えることもないと来ています。

私もジャカルタに長く生活をしていて感じたのですが、毎日が同じだから先々のことを心配しなくても、今が良ければとりあえず安心なのです。

だから工場内で何か問題が起きても、とりあえず目の前の問題を解消しておけば、それで安心してしまうのではないかと思うようになりました。

これはなにも工場内の問題に限った話ではなく、手が付けられない事態になるまで根本的な対策が取られて来なかった、ジャカルタの大渋滞、大洪水、そして港湾や空港の常識を超えた能力オーバーの問題を見ていると、やはりそうなのかなと考えてしまう。