2021.09.16
最近のニュースに私的コメント
電気自動車に賭けるジョコウィ大統領の夢が悪夢にならないために
2021年9月15日、ジョコウィ大統領は西ジャワ州カラワン県にあるKINIC工業団地において、現代自動車とLGエナジー・ソリューションが共同出資するPT.HKML Battery Indonesiaの電気自動車用リチウムイオン電池製造工場の着工式に出席し、着工のベルを押しました。
このプロジェクトは約1兆円を投資して、2035年までに400万台の電気自動車生産を目指すインドネシア政府の目標に沿ったもので、現代自動車はブカシ地区において電気自動車の生産工場建設も進めています。
電気自動車の生産拠点化はジョコウィ大統領が独立100周年の2045年に向けて掲げる国家目標、首都移転、世界第五位の経済大国と並ぶものです。
ただし電気自動車の生産拠点化については懸念事項がいくつかあります。
1.世界的な基幹産業である自動車産業はアメリカ、ドイツ、日本のガソリンエンジン車に支配されており、今後もこれを奪うことは難しいと考えた中国・韓国が、電気自動車という新しい分野で基幹産業の覇権を狙っていることは明らかである。下手をすると中国・韓国と心中することも有り得る。
2.電気自動車は排気ガスを出さないから環境に良いという単純なものではない。充電するための電気を作り送り出すためにの燃料はどうするのかが問われる。発電を石炭・石油・液化天然ガスに頼るのであれば、結局のところ同じである。では原子力発電や太陽光発電に頼れるのか。これも政治的、技術的に解決すべき問題が多い。
3.自動車にかかるトータルコストは現在のガソリンエンジン車に比べてどうなのか。自動車そのものの製造コストはどうなのか。走行距離当たりのガソリンと電気のコストはどうなのか。
4.これらの問題が全て解決出来て新しい自動車社会が現実になるとしたら既存の自動車メーカーが傍観していることはなく、熾烈な主導権争いが繰り広げられるだろう。
考えるだけで頭が痛くなります。