2022.09.29
インドネシアの耳より情報
今年も【G30S】の映画が一斉放映
1965年9月30日の未明、スカルノ大統領の下で急成長しつつあった共産党の勢力拡大に反対していた7人の国軍将軍が、共産党軍に拉致され殺害されました。
この事件はGerakan 30 September (G30S)、日本語風に訳すと9.30動乱として後世に語り継がれることになり、毎年この日には4時間の大作である映画【G30S/PKI】が全国にテレビ放映されます。(PKIはPartai Komunism Indonesiaインドネシア共産党の略)
この映画はYouTubeでいつでも視聴出来ます。
https://www.youtube.com/watch?v=QFh-1Qz8eQ4
1945年にインドネシア共和国の独立を宣言したスカルノ初代大統領は、その後次第に社会主義に突き進み、経済は破綻して共産党の誕生と躍進を許すことになり、勢力を強めた共産党は中国共産党の支援を受けて、独自の軍隊を持つようになります。
一方で、スカルノ大統領の重病説を心配した共産党は、スカルノ大統領が健在のうちに政権を奪取することを計画し、それに反対する国軍の将軍を殺害すると言うクーデターを起こします。
しかし、このクーデターは難を逃れた陸軍のスハルト将軍が指揮する国軍により瞬く間に制圧され、それ以降の悲惨な赤狩りが行われ、冤罪も含めて全国で数十万人とも言われる犠牲者を生むことになります。
この騒動を恐れてそのまま行方が分からなくなった人は、今でも存在すると言われています。
このクーデター失敗事件を契機に、3年後に大統領職を引き継いだスハルト大統領は、それから30年にわたる軍事力を背景にした長期政権を敷いて、外資導入による経済開発を進めることになります。
1942年に日本軍による統治から始まり、1968年にスハルト政権が始まるまでの、四半世紀にわたる近代インドネシアの動乱の時代を物語る事件と言えるでしょう。