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2023.05.01 最近のニュースに私的コメント

サウジ・イラン国交樹立のインドネシアへの影響

世界のムスリム人口

先般、中国の仲介で長年にわたり敵対していた、サウジアラビアとイランが国交樹立に向けて動き出しました。

イスラム教には熾烈に敵対する二つの派閥があり、多数を占めるスンニ派のリーダーがサウジで、少数派のシーア派のリーダーがイランで、その配下にはシリアとイラクがあると言われています。
インドネシアのイスラム教徒のほとんどはスンニ派で、シーア派は数百人程度のようです。
熾烈に敵対して来た二つの派閥のリーダーが、国交樹立に動くとどうなるのでしょうか?
トランプ政権の時にサウジとイスラエルの国交樹立が画策され、反対にイランは孤立化の方向に向かっていたのですが、今回の動きによりイスラエルが中東の中で完全に孤立してしまうでしょう。
また、今回の仲介に成功した中国の立場は中東において俄然強くなり、それにロシアが便乗すると、ユーラシアとアフリカ大陸の中央を南北に結ぶ人民元決済通貨の経済圏が構築されるかもしれません。
それに対して、日米豪印戦略対話であるQUADの結束力がどれくらい機能するのか試されることになりますが、今回の中国による仲介への道を切り開いたのは、実質的にアメリカ民主党政権の怠慢による落ち度であり、QUADの存在はいささか頼りない限りです。
日本政府の外交力は地に堕ちたようなもので、とてもアメリカに代わりリーダーシップを取れるとは思えません。
中国とアメリカのパワーバランスの変化により、中東イスラム世界の勢力図が大きく塗り替えられ、ドル基軸通貨の経済も崩壊しそうな状況下、インドネシアは1年後の大統領選挙に向けて内政に忙しい毎日となるでしょう。
任期が1年と少しのジョコウィ大統領は、国際問題ではアセアン域内の調整も含め、最後まで気を抜けない日々となるのでしょう。