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2024.01.26 最近のニュースに私的コメント

プラボウォ大統領候補の野望

20240125_大統領候補支持率推移

今回の次期大統領候補の一人、プラボウォ・スビアント氏は1951年ジャカルタ生まれの73歳。

生粋の軍人で、陸軍特殊部隊に勤務し、1998年のスハルト政権崩壊時は戦略的予備役司令長官の任に就いていました。

しかし、その立場から同年5月に起きた暴動の原因となる、デモの学生リーダー射殺事件の責任を問われ、暫くはヨルダンに亡命していました。

帰国後は2009年の大統領選挙において、前大統領でインドネシア闘争民主党のメガワティ党首の副大統領候補として、当時のユドヨノ大統領の2期目に対抗して出馬しましたが、敗退しました。

2014年の大統領選挙では、庶民の代表として、民主志主義のシンボルとして彗星の如く昇って来たジョコウィ候補と争い、僅差で敗退しました。

2019年の大統領選挙でも、2期目を目指すジョコウィ大統領に僅差で敗退しましたが、2期目内閣の国防大臣に就任し、国軍の軍備増強に貢献して来ました。

そして2024年の大統領選挙では、一時は次世代に役割を譲りたいとして引退するような発言もありましたが、結果として4度目の挑戦となりました。

出馬表明当初は、3候補の中でも支持率が一番低かったのですが、次第に伸ばして来て、副大統領に現大統領の長男を指名した辺りには、他の2候補を振り切り、支持率トップを維持し、1回戦で50%を超える得票数を獲得し、そのまま当選となるのではないかと予測されています。

プラボウォ氏は、30年の長期独裁政権を築いたスハルト元大統領の娘婿として、スハルト大統領の後継者として自他共に認められた人物でした。

本人に直接会ったことのある日本人によると、笑っていても目は絶対に笑っていない、怖い人物とのことでした。

1998年のジャカルタ暴動の直後にスハルト元大統領の娘と離婚し、前回2019年の大統領選挙の際には、よりを戻すかのような話もありましたが、落選によりその話も立ち消えとなりました。

スハルト政権時代に貯めたと思われる膨大な資産は、ボゴールに広がる要塞のような牧場と、ジャカルタにある豪邸、そしてそれらの間を移動するための自家用ヘリコプターなどから明らかです。

インドネシアの政治の表と裏を知り尽くし、莫大な資金を手にしたプラボウォ氏が、政治的な野望を抱いたとしたら、まず排除すべきと考えられるのは、長年インドネシア政界を牛耳って来たメガワティ党首であり、そして、その後釜を狙うジョコウィ大統領でしょう。

今回のメガワティ党首とジョコウィ大統領の反目と決別で、結果として漁夫の利を得たのはプラボウォ候補でしょう。

もしも一連の出来事を画策していたとしたら、恐ろしい野望の持ち主が、インドネシアの次期大統領になると言えるでしょう。