インドネシアで仕事をする時の小話的アドバイス 【桁違いの日本人経費】
物価の違いと為替の関係で仕方のないことではありましたが、日本人のための経費、例えば駐在員の借家代金や出張者の現地払い日当は現地社員の相場に比べて桁が違うため、これらを処理している経理スタッフはどんな気持ちなのだろうかと、いつも気になっていました。もちろん彼らから何か異議を唱えて来た訳ではありませんが、何も感じていないはずはないと、常に気にかけていました。
ただ、現地社員の僅かな費用の使い方の間違いに対して、日本人の管理者が金額の問題では無いと必要以上に追求した際に、現地の経理マネージャーが皮肉たっぷりに『日本人の旦那方の交際費用に較べたら、一体どれくらいの影響があるのでしょうか?』と捨て台詞を吐いた時の、やり切れない表情は今でも忘れられません。
私生活においても、カラオケバーでの一晩の支払が、今でも変わらないと思いますが、お手伝いさんの一ヶ月分の給与とほぼ同じでした。日本食材専用のスーパーで買い込んで来た商品の値札を見て何と思ったのだろうか。
日本は外国人から理想的な社会主義国家と揶揄されるほど貧富の格差の少ない国です。ですから、格差を強いる立場、あるいは強いられる立場の経験を持っている人は非常に少ないはずです。しかし、インドネシアで仕事をして、そこで生活をする場合、ほとんどの日本人は格差を強いる立場になることを意識しなくてはなりません。
さらに、インドネシアは『富める者は貧しい物に恵む義務があり、貧しい物は施しを受ける権利を持つ』というイスラム教徒が90%を占める国でもあります。インドネシアでの日本人は一般的に『富める者』です。
これから益々多くの日本人がインドネシアに滞在するものと予想されますが、街中の風景がどんなに近代化しても、ここはインドネシアであるということを常に意識して欲しいと願っています。