お問い合わせ

採用募集中!

2013.03.04 出島『海外ビジネスコラム』原稿

インドネシアで仕事をする時の小話的アドバイス 【組合対応はインドネシアの文化に沿って】

 インドネシアの人達が人間関係において大事にしていることに、ムシャワラ・ムファカット(話し合いによる意見の一致)という文化があります。2000年頃まではインドネシア政治の最高決定機関であった国民協議会(Majelis Permusyawaratan Rakyat)の“協議”にもムシャワラと言う用語が使われています。

 スハルト政権当時にも労働組合の活動が制限付きで解禁となり、私のいた工場でもそれに対応する動きが出始めました。しかし、いきなり労働組合を作ると言っても従業員の中には経験者がいる訳でもなく、準備段階として経営者側と従業員代表からなる、二者協議会を設立することになりました。

 そこでお互いの思いを、ムシャワラ・ムファカットを通じて確認し、2年くらい経過したところで企業内労働組合を設立しました。その当時に関わったインドネシア人幹部社員の働きで、その後も労使関係は大きな問題もなく続いていると聞いています。

 国民協議会は政治の最高決定機関であったと、過去形で書きましたが、2004年に現在のユドヨノ大統領が初めて国民投票で選ばれるまでは、国民協議会の場で選ばれていました。このように2004年以降、インドネシアはユドヨノ政権下で急激に民主化を推し進めて来ましたが、それまで力で抑え付けられていた労働組合運動も、一挙に活発化するようになりました。

 10人以上の従業員が希望すると労働組合を結成することが出来るため、複数の企業内組合が併存するところも珍しくないようです。上部組織の○○連合や□□協議会も雨後の筍のように結成され続けており、縦横の関係がどのようになっているのか、困惑するばかりです。

 このように状況で、社外からの影響も多いと思いますので、現地法人を設立した後は結構早いタイミングで労働組合結成の要求が出て来るものと予想されます。しかし、決してあわてることなく、現地の人事担当スタッフに丸投げすることなく、彼らと良く協力して、腰を据えて組合の代表者と、お互いが納得するまで話し合う姿勢が大事であると思います。

インドネシアビジネスサポート