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2013.03.15 業種別投資環境

1. 農業分野

 本書はインドネシア共和国大統領令2010年36号、投資において閉鎖されている事業分野、及び条件付きで開放されている事業分野リストに沿って、それらの投資条件を解説すると共に、各事業分野の技術開発、サプライチェーン、マーケットなどについて、現地駐在当時の経験、その後の現地調査、現地政府機関および業界団体組織からの情報、テレビなどのメディア情報そしてインターネット上の情報を基にまとめたものです。

 尚、投資において閉鎖されている事業分野、及び条件付きで開放されている事業分野についての解説は簡略的にまとめてありますので、詳細は日本語版オリジナルリストにて確認することをお薦めします。

 基になっている大統領令2010年36号は、投資環境の向上や競争力の強化を目的として、2013年第3四半期をめどに改定される予定ですが、変更の程度に合わせて本書を改定することも考えられます。

1-1. 投資が閉鎖されている事業分野

大麻の栽培
解説:大麻はインドネシア語でGanjaですが、適用されるKBLI(インドネシア標準産業分類)番号01289では、香辛料、香料・清涼薬、麻薬ならびにその他薬草の植樹行為となっており、その中の麻薬がこれに該当します。

1-2. 投資が条件付きで開放されている事業分野

25ha以下あるいは未満での作物の栽培
解説:中小・零細企業、協同組合のため留保される分野で、インドネシア組合・中小企業省の定義によると、小規模・零細企業とは、土地・建物を除いた資産が2億ルピア以下で年商が10億ルピア以下、中規模企業とは、土地・建物を除いた資産が2億超から100億ルピアまでとなります。

25haを超えた作物の栽培
基本食用作物の場合、外資比率は最大49%まで、その他食用作物の場合、外資比率は最大95%までに制限されます。

農業大臣令2007年26号及び/又はその改訂に基づく特定生産能力未満のプランテーション産物加工業
解説:コーヒー、カカオ、タバコ、ヤシ油、カシューナッツなどで、無条件でまでは開放されています。但し、25ha以上の場合、外資は95%までに制限され、さらに農業大臣あるいはプランテーション総局長からの推薦状が必要となります。

125匹以下の豚の繁殖と飼育、鶏の放し飼い、その交雑と飼育
解説:中小・零細企業、協同組合のため留保される分野です。但し、125匹超の豚の繁殖と飼育については、地方条例に反しない限り無条件です。

1-3. 技術開発

インドネシア農業省の研究開発局の組織には、以下の部門が設けられています。
食料栽培:米、豆・トウモロコシ、実物教材、米ツンゴロ病
園芸:野菜、熱帯果物、観葉植物、柑橘類・亜熱帯果物
プランテーション:薬草・香料の栽培、タバコ・食物繊維、ヤシ類、香辛料・工業栽培
酪農:畜産、獣医、豚肉、山羊肉
土地資源:沼地、土地、農業気象および水文学、農業環境

JICAの協力プロジェクトとして、2011年7月17日から2015年7月16日にかけて実施された、西ジャワ州スバンの農業省畜産動物衛生総局農業省に対するスバンDICの家畜疾病診断サービスの質・量向上支援があります。

1-4. サプライチェーン

プランテーションの最大の生産品目はヤシ油の実で、2011年の生産量は23百万トンでした。州別の生産量では北スマトラの4百トン、リアウ州(スマトラ)の6百トンで全国の約半分を占めています。2011年のデータはありませんが、この中の70%近くは輸出され、金額も6,000百万ドル前後と推定されます。輸出先の上位3国は、インド、中国、オランダとなっています。

コーヒーの2011年の生産量は64万トンで、スマトラ島全体で48万トンを占めています。2011年のデータはありませんが、輸出量は40万トン以上と推定され、輸出先の上位3国は、アメリカ、ドイツ、日本となっています。

米の2011年州別生産量は、全国総生産65百万トンに対し、上位3州は西ジャワ州の12百万トン、東ジャワ州の11百万トン、中部ジャワ州の9百万トンで、全土の約半分を占めました。この中輸出されたのは僅か1,000トンに過ぎないため、ほとんどが国内消費に向けられています。2011年の食用作物の輸出量、金額共にトップは小麦の556千トン、450百万ドルでした。

インドネシア商工会議所傘下のヤシ油事業者連合会のメンバーは571社あり、その中にはAstra, Sinarmas, Mulia, Sampoernaなどの大手華人系財閥の会社も多く散見されます。

日本企業ではスラゥエシ島において、1976年以来、コーヒー農場の経営を行っているキーコーヒー株式会社が有名です。

1-5. マーケット

インドネシアの消費者物価は9品目からなる生活必需品の単価で測定されます。
いくつかの品目の2012年12月時点の小売価格は以下の通りです。(Rp.100≒1円)
米 Rp.6,800~Rp.8,000/Litter
砂糖 Rp.12,000~Rp.12,500/Kg
揚げ油 Rp.8,600/Kg
バター Rp.5,500/200g
卵 Rp.17,500/Kg

2000年から2009年にかけて、米の価格は約2.5倍に値上がりしています。

1-6. 主要な情報源

インドネシア農業省

インドネシアヤシ油事業者連合会

インドネシアビジネスサポート