4. エネルギー・鉱物資源分野
本書はインドネシア共和国大統領令2010年36号、投資において閉鎖されている事業分野、及び条件付きで開放されている事業分野リストに沿って、それらの投資条件を解説すると共に、各事業分野の技術開発、サプライチェーン、マーケットなどについて、現地駐在当時の経験、その後の現地調査、現地政府機関および業界団体組織からの情報、テレビなどのメディア情報そしてインターネット上の情報を基にまとめたものです。
尚、投資において閉鎖されている事業分野、及び条件付きで開放されている事業分野についての解説は簡略的にまとめてありますので、詳細は日本語版オリジナルリストにて確認することをお薦めします。
基になっている大統領令2010年36号は、投資環境の向上や競争力の強化を目的として、2013年第3四半期をめどに改定される予定ですが、変更の程度に合わせて本書を改定することも考えられます。
4-1. 投資が閉鎖されている事業分野
該当する分野はありません。
4-2. 投資が条件付きで開放されている事業分野
1メガワット未満の発電
解説:中小・零細企業、協同組合のため留保される分野で、インドネシア組合・中小企業省の定義によると、小規模・零細企業とは、土地・建物を除いた資産が2億ルピア以下で年商が10億ルピア以下、中規模企業とは、土地・建物を除いた資産が2億超から100億ルピアまでとなります。
1メガワット以上10メガワット未満の小規模発電
解説:インドネシア人またはインドネシア法人とのパートナーシップ(合弁に限らない)が義務付けられます。
10メガワットを超える発電ならびに送電、配電および電力設備の建設・設置、設計、コンサルティングなど
解説:外資は最大95%までに制限されます。
地熱施設の操業・メンテナンスサービス
解説:外資は最大90%までに制限されます。
石油・ガスの掘削およびそれら施設の運営・メンテナンス
解説:外資は最大95%までに制限されます。
放射性鉱物鉱業
国家原子力庁(BATAN)の推薦状が必要となります。
4-3. 技術開発
2011年10月に開催された、国家エネルギー管理年次会合において、以下のテーマが議論されました。
1. 地熱発電のさらなる開発のための関係機関の協力体制の強化
2. ゴミ発電の特に大都市における代替エネルギー源としての潜在力の高さ
3. ゴミ発電に必要な巨大投資に対する政府の支援
4. ガス燃料車普及のためのインフラ整備
5. ガス燃料車普及のための法規制の整備
6. 3Kgプロパンガス計画
8. 代替エネルギー開発に対する関係省庁の協力体制
4-4. サプライチェーン
2011年にインドネシア国内で産出されたエネルギー原料は石油換算バレルで、石炭が1,483百万バレル、天然ガスが519百万バレル、原油が329百万バレルとなっています。
2011年時点の全土での石炭埋蔵量は280億トンで、南スマトラ州が140億トン、東カリマンタン州が90億トン、南カリマンタン州が40億トンとなっています。また、原油埋蔵量は全土で77億バレル、天然ガスは全土で153(TSCF)となっています。
2011年に輸出されたエネルギー原料は石油換算バレルで、石炭が1,145百万バレル、天然ガスが60百万バレル、原油が135百万バレルとなっています。
2011年の石炭輸出総量は272百万トンですが、そのうち日本への輸出は26百万トンでした。原油の日本への輸出は36百万バレルでした。
2011年に輸入されたエネルギー原料は石油換算バレルで、燃料が166百万バレル、原油が97百万バレルとなっています。
インドネシア石油ガス採掘業者協会の会員は401社、インドネシア石炭採掘業者協会の会員は77社となっています。
4-5. マーケット
2000年から2011年にかけての国内消費の推移は石油換算バレルで、産業用が252百万バレルから360百万バレルの42%増に、家庭用が297百万バレルから320百万バレルの8%増に、そして輸送用が139百万バレルから277百万バレルの100%増になっており、これからも自動車、オートバイの急増の様子が窺われます。
2000年から2011年にかけての国内消費エネルギーの用途別、種類別推移は、産業用では石炭が15%から35%に、家庭用では灯油が72%から12%、LPGが7%から41%、電気が21%から47%に変化したのが特徴的と言えます。
2000年から2011年にかけての平均輸出価格は、原油は1バレル当たりUS$28.39からUS$111.55に、液化天然ガスは1MMBTU当たりUS$4.31からUS11.8に、石炭は1トン当たりUS$29.60からUS$93.56に上昇しています。
2010年時点での経済成長と人口増加に基づく政府の予想では、2010年に対する2030年のエネルギー原料消費量は約2.5倍、電力需要は約5倍とされています。
日系企業では2012年9月に、JX日鉱日石エネルギー株式会社が進出しています。
4-6. 主要な情報源