9. 文化・観光分野
本書はインドネシア共和国大統領令2010年36号、投資において閉鎖されている事業分野、及び条件付きで開放されている事業分野リストに沿って、それらの投資条件を解説すると共に、各事業分野の技術開発、サプライチェーン、マーケットなどについて、現地駐在当時の経験、その後の現地調査、現地政府機関および業界団体組織からの情報、テレビなどのメディア情報そしてインターネット上の情報を基にまとめたものです。
尚、投資において閉鎖されている事業分野、及び条件付きで開放されている事業分野についての解説は簡略的にまとめてありますので、詳細は日本語版オリジナルリストにて確認することをお薦めします。
基になっている大統領令2010年36号は、投資環境の向上や競争力の強化を目的として、2013年第3四半期をめどに改定される予定ですが、変更の程度に合わせて本書を改定することも考えられます。
9-1. 投資が閉鎖されている事業分野
公立博物館、歴史・古代遺産(寺院、城郭、石碑、遺跡、古代建造物など)、伝統的環境/居住、記念建造物
解説:国が管理運営している物件が対象で、民間が管理運営している物件は対象外です。
賭博/カジノ
解説:これにはオンライン上での賭けごとや、場外馬券の売買も含まれます。
9-2. 投資が条件付きで開放されている事業分野
ホームステイ、旅行代理店、観光ガイドサービス業、アートスタジオ
解説:中小・零細企業、協同組合のため留保される分野で、インドネシア組合・中小企業省の定義によると、小規模・零細企業とは、土地・建物を除いた資産が2億ルピア以下で年商が10億ルピア以下、中規模企業とは、土地・建物を除いた資産が2億超から100億ルピアまでとなります。
アートギャラリー、映画技術サービス、芸術ホール
解説:外資は最大67%または49%までに制限されます。
映画製作、配給(輸出、輸入、流通)、上映、宣伝材料
解説:内資100%企業に限定されます。
ホテル、レストラン、ケータリング、国外向けツアーオペレーター、会議、展示会、インセンティブ・ツアーのサービス、興行業サービス、カルチャーツーリズム対象事業、レクリエーション・娯楽業、ゴルフ場
解説:外資は最大51%までに制限されます。但し、中小零細企業や協同組合とパートナーシップを場合、49%まで制限される分野も一部あります。
9-3. 技術開発
インドネシアの国是は『多様性の中の統一』である。裏返すと、実に色々な文化、地形、歴史、民族が同居している国です。そして、領海含めるとアメリカ合衆国とほぼ同じ広さの領域にそれらの多様性が広がっています。これらは天然資源に勝るとも劣らない、観光資源の宝庫と言っても良いでしょう。経済のジャカルタ一極集中を緩和する分野としても期待されます。
しかし、開発は決して進んでいるとはいない状況で、自然環境保護と両立する形での開発が非常に期待される分野です。
観光誘致にしても、バリ島を除く知名度は海外では低く、マレーシア政府の誘致活動に較べると、量と質の両面で改善の余地が大きいと思われます。
9-4. サプライチェーン
2011年の外国人観光客総数は765万人で、国別の上位は、シンガポール125万人、マレーシア104万人、オーストラリア89万人、中国50万人、日本41万人でした。
2011年のインドネシア入国地別の上位は、バリ279万人、ジャカルタ193万人、バタム116万人でした。
2011年の国内での観光客数は675万人で、平均滞在日数は8日、一人当り支出額はUS$934.5でした。
2010年の全国の旅行会社数は1,116社、代理店数は1,917店舗となっていますが、30%前後がジャカルタに集中しています。
2011年の全国の星有りホテルの総数は1,489、星無しホテルの総数は13,794となっており、星有りホテルはバリ島199、西ジャワ州199、ジャカルタ162、中部ジャワ州131とバリ島、ジャカルタ以外でも多くなっています。
星有りホテルの稼働率(部屋利用率)は平均で52.82%、上位は中部スラウェシ州65.08%、バリ島64.62%となっています。
2010年の中規模・大規模レストラン(平均従業員数27名)の全国での総数は2,916で、地域別ではジャカルタが1,359と約半数を占めています。
9-5. マーケット
2007年から2011年にかけて観光客の入国数が最も伸びているのはバリ島で、174万人から279万人と増加しています。次に増えているのがジャカルタで、115万人から193万人となっています。
2006年から2010年にかけてホテルの稼働率が顕著に伸びているのは、スラウェシ島ゴロンタロ州の41.94%から76.61%、中部スラウェシ州の54.45%から66.47%、パプア州の38.90%から58.02%が挙げられます。
9-6. 主要な情報源