インドネシア進出のアドバイザー不在で大丈夫ですか?
小規模企業のインドネシア進出事例に共通していることは、このプロジェクトを推進するベテランスタッフが不在で、ほとんどのことを社長自らが担当していることです。本社での日々の仕事だけでも忙しい中で、インドネシア進出と言う大変なプロジェクトを推し進めるのは並大抵の苦労ではなく、どうしても時間が確保出来ずに進捗が遅れてしまうのが普通です。
時間の問題だけではありません、日本と言う既に長い時間をかけて構築されて来たビジネス環境の下では、意識しなくても回っている仕事はたくさんあり、社長は製品開発、製造、あるいは営業と、自信の得意とする分野、あるいは自社の弱いところに時間と労力を集中させることも可能です。
しかし、全く未知のインドネシアと言う国に進出するとなると、日本のようには行きません。現地に設立した法人が、企業として成長発展するためには、以下の四分野のいずれを欠くことも許されません。これは企業の大小に関わらず求められる要因ですので、インドネシアに限らず、海外進出を決断する際には必ず、十分に調査検討すべきものです。
①市場開拓
インドネシア進出の動機は、取引先の顧客企業から現地調達の向上に協力して欲しいということであっても、果たしてその取引だけで現地法人を運営出来るケースは稀です。最悪のケースとしては、実際にあったことですが、工場が出来たころになって、当てにしていた取引先の仕事が他の国に移されることになり、立ち上げ当初の売上目標が白紙になることもあり得ます。
日本での系列取引先の仕事以外に、全く新しい市場としてどんな顧客、どれくらいの市場規模が期待出来るのか、調査会社や他人の意見に頼るのではなく、自分の五感で体験することが大事です。思いもしない可能性に出会うには、その仕事に長く関わって来た社長の経験と勘を現地で働かせることが必要となります。だから第三者ではだめなのです。
②製品開発
上記の市場開拓にはどうしても現状の製品に何らかの手を入れる必要性に迫られることがあります。その場合、現地調達可能な材料は何があるのか、販売店から要求される仕様や機能はどうなのかを調べ上げなくてはなりません。調査対象の数は多いほど良いとは思うのですが、その対象を探し当て、そして訪問のアポを取るのは、経験値からして日本の10倍くらい手間がかかると考えるべきでしょう。かと言って、訪問先が少ないと偏った情報だけになる危険性もあるので、一つの課題に対して最低でも3ヶ所からの情報が必要と思われます。
③顧客管理
インドネシア市場は日本国内と異なり、日系企業、中国企業、韓国企業、インドネシア企業、華僑企業などが入り混じっています。当然のことながら、注文を頂くためにはそれぞれに応対は変えなくてはいけません。誰が訪問するのか、どれくらいの頻度で訪問するのか、国籍や人種の特性に合わせて、細かい気配りをするのが当たり前のように求められます。
④サプライチェーンマネージメント
最近は日本でもサプライチェーンと言う用語が普通に使われるようになりましたが、要するに製造業においては、材料を調達し、製品に加工し、そして顧客先に納入する一連のプロセスを意味します。これは特に製造企業にとっては基幹業務となるため、最も時間をかけて詰めておかなくてはならない分野です。
要件に応えられる材料サプライヤ、外注企業、販売代理店は存在するのか、自分の五感で確認しなくてはならない分野です。仮に調査会社に委託したとしても、最後は自分の五感で確認しなくてはいけない大事なことです。
以上のことを事前にしっかりと抑えておくことで、インドネシアなどへの海外進出は成功に一歩近づくものと思います。