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2014.12.24 インドネシアでの仕事のアドバイス インドネシア進出準備

インドネシアでビジネスパートナーを見つけるには

 インドネシアに進出する場合の形態として、100%出資の製造会社を除き、インドネシア企業またはインドネシア人との合弁あるいは業務提携の契約を結ぶ必要があります。実際にどんな契約の形態があり、それらの利点やリスクについてお話してみたいと思います。

 まず知っておかなければならない事実として、インドネシアでビジネスパートナーを探す場合、その約90%は華僑であると言うことです。華僑の定義は国籍を中国に持ちながら海外で事業をしている中国人で、インドネシアに国籍を持つ中国人は正しくは華人と呼ぶべきなのですが、ここでは普段使われる華僑の呼称を使います。

 インドネシアの総人口2億5千万人に占める華僑の人口は3%前後と言われていますので、700万人くらいの華僑がインドネシア経済の90%近くを支配しているとも言われています。但し、風貌からはインドネシア人なのか、それとも華僑なのか見分けの付かない人も時々いますので、その際は遠慮せずに聞いてみると良いでしょう。

 なぜそのような構造になったのか、あくまでも私の推論ですが、17世紀から20世紀までの300年間を植民地として支配したオランダ人の下で、流通や金融の現場を仕切っている間にそれらの分野を支配する基盤を築いたのではないかと思われます。また、自分で汗を流して物を作り、それらを販売してお金を稼ぐことに好感を持たなかった、インドネシア人の民族性も影響したのではないかと思われます。

 日本の江戸っ子に相当するブタウィ人(ジャカルタ人)の理想的なビジネスとは、三輪タクシーや乗り合いタクシーをたくさん所有し、それらを運転手に貸し出して毎日の売り上げから上前を取り、自分は涼しい木陰で煙草を吸いながら、のんびりと政治談議をすることだと、ブタウィ人から聞いたことがあります。

 インドネシア人の中にもビジネスに成功している人はいますが、スラウェシ島出身者が多いのは何か理由があるのでしょう。現副大統領のユスフ・カラ氏は大手機械メーカーを築き上げました。パナソニックとの合弁会社をインドネシア最大の家電メーカーに育て上げたゴーベル氏もスラウェシ島の出身です。

 前置きが長くなりましたが、インドネシアでのビジネスパートナー候補が、どんな歴史的背景にあるのか、ちょっとだけ理解して頂けたでしょうか。それでは、本題に入りたいと思います。

①合弁契約のビジネスパートナー

 法律の制約や業界または市場の事情から合弁会社を設立してインドネシアでの事業を展開するケースは、製造業以外に多いのですが、製造業においても皆無ではありません。インドネシアで事業を成功させるために必要な、資金、人材、技術、人脈、流通など、お互いに弱いところを補っていければ可能性は大きいと思います。

 しかし、合弁契約を結ぶ際に起きる、資本比率の基づく主導権を巡る争い、事業が順調に進んで大きな利益が出た際の再投資に対する見解の違いによる争い等々、いつもニコニコと仲良く仕事が出来るわけではありません。それを嫌って合弁会社ではなく、無理してでも100%出資の現地法人を選ぶケースが多いのも事実です。

 特に日本の製造会社と合弁して、技術を向上して日系企業との取引を実現したいと望んでいるインドネシア企業はたくさんあります。その気になって探せば候補はいくつも見付かることでしょう。彼らとじっくり時間をかけて話をしてオーナーの人となりを見極め、契約に際しては現地の弁護士を巻き込み、後々もめ事や意見の相違があっても法的に解決出来るだけの綿密な契約書を交わしておくことが大事です。ここで、時間と経費をケチってはいけません。

②技術援助契約のビジネスパートナー

 合弁で製造会社を設立する前に、相手企業の既存の工場を舞台にして、インドネシアでのモノ作りのノウハウを学ぶことが出来ます。一般的には日本側から技術者を常駐させて、現地側の技術向上を支援する訳ですが、技術援助料(通常は売上の3%以下)の他に、派遣された日本人技術者の滞在費用も負担してもらうのが一般的です。

 この形態では日本側にほとんどお金の負担は発生しませんが、いつの間にか自社技術を吸い取られてしまい、いざ合弁の話になった時には既に必要とされなくなっているどころか、技術向上によって獲得出来た新規顧客もそのまま取られてしまうというリスクがあります。

 契約を締結する際には、①と同様に現地の弁護士を巻き込み、将来的に合弁会社を設立することを前提にするのか、それとも自社ブランドの浸透を目的にするのか、等々の目的に合った綿密な契約書を作ることが大事です。

③輸入販売代理店契約のビジネスパートナー

 現地に製造販売会社を設立する前に、市場規模を見極めたい、または操業維持に必要な顧客を確保しておく目的で、既存の現地輸入販売店に委託するか、あるいは新たに会社を設立してもらう方法です。100%インドネシア国内資本で設立する場合は、会社法上では50万円の資本金で可能で、実際には100万円もあれば短期間で設立出来ます。

 但し、比較的簡単に設立出来ることから、資本金を無利子で貸し付けることで、安易に引き受けてくれるインドネシア人がいることも事実です。最悪、契約を破棄する事態に陥った場合、資本金は捨てる覚悟をすれば良いのですが、その間に費やされた時間と費用は戻って来ません。インドネシアにおけるブランドイメージを悪くしてしまう危険性もあります。

 パートナーを選ぶ時の注意も大事ですが、その後の活動を指導・監督する目的で、駐在員事務所を併設することも一つの対策と言えます。

 また、言うまでもありませんが、①②と同様に、現地の弁護士を巻き込み、将来的に合弁会社を設立することを前提にするのか、それとも自社ブランドの浸透を目的にするのか、等々の目的に合った綿密な契約書を作ることが大事です。

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