中小企業のインドネシア進出に対する私見
中小の製造業がインドネシアに進出する際のお手伝いをして来て、常に心に引っ掛かることは、日本の産業の空洞化に加担しているのではないか、という懸念でした。
日本国内での設備投資や人材採用を諦めて、インドネシアに活路を求める中小企業には色々な事情がありますが、一番多いのは、日本国内での需要が先細りしつつある、あるいは日本国内では労働力や人材を確保出来ないという事情ではないかと思われます。
真因は人口減少、高齢化など、日本社会が抱えている構造的な問題であるため、中小の一企業の工夫や努力ではどうしようもない事態になりつつあることも確かです。
最近の円安や原油安を背景に、一度はインドネシア進出を考えてみたものの、コスト面での問題が軽減されたことから、進出計画を中止したとの話も耳にします。
しかし、これらの要因は世界情勢の変化でいつ何時元に戻るか分からないし、もしかすると、さらに悪化するかもしれない可能性を秘めています。
日本が今後も少子高齢化の道を辿ることは、直ぐに変わることはないと思われますので、やはりそれを前提とした企業の姿を考えなくてはいけないのではないでしょうか。
しかし、だからと言って、インドネシア現地法人だけが大きくなって、肝心の日本本社が形骸化してしまうのは何としても避けたいと思うのは、日本人としては当然のことでしょう。
では、インドネシアに進出することにより、日本側にとって具体的にどんなことが期待されるのかを考えてみましょう。
①インドネシア法人からの利益配当
2013年6月に、財務省は4月の国際収支を発表しました。それによると、最終的な国の儲けを示す経常収支は7,500億円の黒字と前年同月比約2倍となり、貿易赤字は前年同月比で赤字が拡大したが、海外への投資から得られる利益が円安によって増加したことでトータルでは黒字となったそうです。日本は製品の輸出ではなく、海外からの投資で利益を得る体質に転換したといえる、とまで言っています。
②インドネシアでの事業拡大で、本社の仕事も増える
現地で使用する素材、部品、金型、機械など、日本でしか作れない物の供給が増え、インドネシアに進出した結果、中小企業の場合はその半数以上が、日本側の業容も大きくなったというデータが公表されています。
③人材の育成
会社の将来を担う若い人材を育成するには、会社も成長していることが求められます。インドネシアで業容を拡大しつつあるところに若い社員を送り出すことは、人材育成にとっての最高のチャンスであると思います。また、インドネシア人の優秀な人材を発掘出来れば真に一石二鳥ではないでしょうか。
インドネシア進出を検討されている中小企業の社長さん達には、是非、前向きな気持ちで取り組んで欲しいと願って止みません。インドネシアという国は、必ずやその気持ちに応えてくれると信じています。もちろん、私も応援します。