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2015.10.14 最近のニュースに私的コメント

急速な親中化が懸念されるジョコウィ政権

 9月末に発表された、新幹線を排除して中国の高速鉄道を選択するとのインドネシア政府の決定は、インドネシアと日本の歴史を知る多くの日本人に衝撃と怒りと落胆を与えたものと思います。

 日本は大東亜戦争以前からインドネシアとは深い関係にあり、特に戦後は経済成長のために多大な支援を続けて来ました。これは事実です。だから日本に義理を感じろと言うのではなく、これらの歴史的な関係に基づき、これからも補完関係を構築出来る二国間の協力を強化すべきと思うのです。

 財政的に問題があるのであればそのように言うべきであり、運営上の面で収支の不安があるのであればそのように相談してくれれば良いではないか、と言いたいのです。

 どうして日本人の気持ちを騙すような形で突然中国の提案に乗り換えるのか。それが国際政治の常識だとでも言うのだろうか。確かに国際政治とは本質的に汚いものであり、騙される方が悪いとも言われます。

 しかし、インドネシアと日本との関係も所詮はそんなレベルのものだったのか。それとも日本人の一方的な思い込みだったと言うのだろうか。

 インドネシア独立の父と言われたスカルノ初代大統領を父に持つメガワティ女史は、ジョコウィをジャカルタ知事に担ぎ出し、さらには大統領にまで押し上げた闘争民主党の党首であり、大統領に対して大きな影響力を持つと言われます。

 スカルノ大統領は独立後に次第に社会主義に傾倒し、中国とソ連との関係強化に進み、1965年9月30日の共産党クーデターを引き起こしてしまう。そのために失脚し、その後の30年にわたるスハルト長期独裁政権を誕生させてしまいました。

 スハルト政権期間中は中国との国交は断絶され、インドネシア国内の華僑は彼らの文化を表に出すことを厳しく制限されて来ました。

 しかしそのスハルト政権も1998年のアジア金融危機への対応の失敗で崩壊し、インドネシアは次第に民主国家へと変遷して来ました。

 特に初めて国民の直接選挙で選ばれ、2004年から2014年まで続いたユドヨノ政権は民主化の一環として、中国との関係改善や華僑の人権回復に尽力して来ました。

 しかしその結果起きていることは中国共産党による急速なインドネシア接近戦略です。メディア通じた中国文化の浸透に始まり、日本の支援で進めて来たいくつかのインフラプロジェクトを様々な理由で白紙に戻し、見直しと称して結局は中国支援に変更という事例が出始めています。

 中国の最終目的は明らかです。日本、台湾などの命綱である中東からの油を運ぶシーレーンを抱えているインドネシアを政治的に囲い込み、アメリカの同盟国である日本を窮地に追い込むことです。

 インドネシアには絶対にそのようなことに手を染めないで欲しいと願っています。

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