インドネシア進出、成功と失敗の分岐点-6 投資資金調達
インドネシアで法人を設立する場合、外国資本が1%でもあるとその会社は外国投資会社PMAとなり、資本比率や業種に関係なく、最少投資額は借入金を含めて100億ルピアとなります。また、そのうちの少なくとも25%である25億ルピアは自己資本として払い込まなくてはなりません。
ここで気になるのは最大で75%を構成する借入金の調達方法です。話を単純化するために総投資額の100%を出資する、合弁ではないケースについて考えてみたいと思います。
現地法人が日本で借り入れを起こして海外借入の形で米ドルや日本円など外貨で資金を調達する場合、この現地法人はまだ実績がないために本社が保証することになり、その本社の信用格付けレポートが要求されます。しかし、この格付けレポートを取得するためには1回あたり200万円前後の費用がかかることや、規定の格付けが本当に取得出来る保証もないため、敬遠されることがほとんどです。
そこで良く行われることが、ルピア建による親子ローンです。親会社である日本の本社が子会社である現地法人に対して貸し付ける方法ですが、これですと本社の信用格付けレポートは必要ありません。しかし、ローンですから現地法人から本社に対して利息支払いが義務付けられます。利率はルピアの貸し出し金利をベースにしますので現在では年10%くらいになるでしょう。
さて、この10%の利息払いは本社にとってはメリットはありますが、立上途上の現地法人にとっては結構な負担となります。製造会社の場合、平均的に会社設立から操業開始までは17ヶ月くらいかかっているため、売上代金が入って来るまでの資金繰りは薄氷を踏む様な思いに駆られるでしょう。
現地法人の負担を少なくするためには、日本の本社が金利の超低い日本でお金を借りて、100%を現地法人の自己資本として調達する形が良いのかもしれません。
これは日本側に借入を起こすだけの余裕があることが前提となりますが、事業全体として一番適切な資金調達の方法はなんであるのか、十分に検討しなくてはなりません。