インドネシア進出、成功と失敗の分岐点-9 インドネシア語
英語が出来る日本人にインドネシア語を勉強しない傾向が多く見受けられます。確かに大学を出たインドネシア人は英語を使えるから、敢えてインドネシア語を新たに勉強しなくても仕事に支障は無いと思われるかもしれません。本当にそうでしょうか?実はここに大きな落とし穴があります。
日本人もインドネシア人もお互いに英語が完璧に出来るならば問題はないのでしょうが、果たしてあなたの英語は完璧で、しかもインドネシア人の社員も英語は完璧でしょうか?完璧でない者同士が難しく込み入った経営問題などについて議論して果たしてどれくらい意思の疎通が出来るのでしょうか?
私自身の体験でも、インドネシア人のエリートは外国人である私に気を使って英語で会話をしてくれます。私はインドネシア語の方が良いですよと予め断っているのですが、それでも英語で話して来る方が圧倒的に多いのが現実です。しかし、話の内容が複雑になるに従いお互いの主張に理解出来ない部分が多くなり、インドネシア語で話してもいいですかと折れて来るのが通常です。
高校卒業の社員も果敢に英語を話して来ますが、少し込み入った内容になるとポカンとしてしまい、話はそこで終わりです。無理に話を続けられても意味不明な会話になってしまうだけです。彼らと意思疎通を行うには英語ではなく、インドネシア語でなくてはならないと確信しています。
大きな日系企業の社長くらいになると専属の通訳を雇っていることも良く見かけます。この方たちはある程度年配ですので、今から新しい外国語を勉強するのは大変で、その時間も惜しいと考えているのかもしれません。しかし、この通訳は自分の言いたいことを本当に正しく伝えてくれているのかと疑問に思ったことはありませんか?
私の持論ですが、その国の人達の心を理解するにはその国の言葉を理解することが前提だと思います。なぜならば言葉にはその国の歴史、文化、風習といったものが凝縮されているからです。真にその国のDNAと言ってもよいでしょう。それを理解しないでどうやってその国の人達を理解出来るのでしょうか?
インドネシア語を全く知らない日本人にとってはとても難しく思えるかもしれません。しかし、インドネシア人にとっての日本語の難易度を100とすれば、日本人にとってのインドネシア語の難易度はせいぜい10くらいです。また日本人にとって英語の難易度を100とすれば、インドネシア語の難易度はやはり10くらいでしょう。なぜならば、綴りはアルファベットで発音は学校で習ったローマ字発音で十分に通じるからです。また、文法も非常にシンプルで、単語さえ間違えなければ多少前後しても理解してもらえるからです。
英語でインドネシア現地法人を経営するのは服の上から痒い所を掻くようなものです。