インドネシア進出、成功と失敗の分岐点-12 どこで稼ぐの
10年以上前にサプライチェーン・カウンシルというアメリカに本部を置くNPOの活動に関わっていました。この団体では企業が付加価値を生みだすいわゆるバリューチェーンをマーケティング、研究開発、顧客営業、サプライチェーンの四つの大きなプロセスで捉えていました。
それぞれのプロセスを簡単に説明すると、マーケティングは新規市場の開拓、研究開発は新商品の実現、顧客営業は受注拡大、そしてサプライチェーンは商品の生産と納入です。
マーケティング:インドネシアではまだ知られていない商品やサービスを現地の市場に持ち込んで、手付かずのブルーオーシャンでパイオニアプロフィットを享受することが出来ます。ブランド名が商品の一般名称になることもあります。例えば水道ポンプの名称になった『サンヨー』、カメラの名称になった『コダック』があります。
研究開発:世界最先端の技術で新商品を発明することではありません。インドネシアにあるリソース(材料、人材、設備、インフラ等)を活かして、インドネシアで売れる商品やサービスを研究開発することです。金型をほとんど使わずに、現地で調達出来る鋼板を折り曲げて車体を作り、従来のものに較べてはるかに安い価格で自動車市場を席巻したトヨタキジャンがその代表例かと思います(キジャンはインドネシア語で鹿の意味)。
顧客営業:市場は既に存在し、競合他社もあるが、合弁パートナーの人脈や日系企業からの信頼という優位性などを武器に新規参入して、マーケットシェアを上げて行くことです。もちろん、既存の商品に対して品質、価格、納期の面で僅かでも優位性をアピールしなくてはいけないので、なかなか厳しい面もあります。
サプライチェーン:材料調達、生産、納品の一連のプロセスを通じて品質、価格、納期の面で、現地の顧客にとってのメリットを提供出来る仕組みを作り上げます。最もシンプルな例は現在は輸入している取引先のある商品のユニットを現地で生産するために進出することです。
さて、あなたの会社はインドネシア進出に際してどのプロセスで付加価値、すなわち儲けを生み出そうとしているのでしょうか?材料費とか人件費の比較も大事ですが、もっと高所大所から俯瞰してみることが大事です。