インドネシア進出、成功と失敗の分岐点-14 税金対策
インドネシアに進出する際の三大リスクを上げるとすれば、本シリーズの第13回で述べた労働組合問題、税金対策、そして安全衛生になると思います。ということで、安全衛生については別に述べるとして、ここでは税金対策について述べたいと思います。
税金対策というと節税の方法かと思われるかもしれませんが、そうではなくて、如何にして税務署から無体な要求を突き付けられないようにするのかというお話です。
まず最初に理解しておかなくてはいけないこととして、税務署から見れば、日系企業は経営がしっかりしているから利益を出しているのが当然で、もし赤字であるとすれば、それは本社に利益が出るように経理上の操作をしているに違いない、とされてしまう可能性が高いことです。
もし年度決算が赤字になりましたと申告すると、日本の本社から材料や部品を輸入しているとすれば、その輸入価格が相場に較べて高過ぎるのではないかと疑われます。また、日本の本社に製品を輸出しているのであれば、その輸出価格は相場に較べて安過ぎるのではないかと疑われます。
特に気を付けなくてはいけないのは、輸入時に支払って来た法人税の前払分を返還申請する場合です。税務署の各担当部門には上から非常に厳しいノルマが課せられていますから、払えないばかりか返してくれと言われると、彼らはあの手この手でそれを却下するための方策を振りかざして来るでしょう。私自身、返還申請額の数百倍の追徴額を要求され、その対処に地獄の様な日々を送った経験があります。
今にして思えば、当時の公認会計士のアドバイスに従って返還申請は見送る方が利口だったように思います。しかし、会社の方針として不合理な要求に対しては断固戦うという選択肢もあります。但し、裁判のための時間とお金が要りますのでその余裕がない場合は公認会計士のアドバイスに素直に従った方が無難でしょう。