空港で感じる国民性
最近は東京の羽田空港、ジャカルタのスカルノハッタ空港、そしてシンガポールのチャンギ空港を利用する機会が多くなっています。
そして、これら国を代表する三つの空港にはお国柄と言うか、国民性が良く出ているなあと感じるようになりました。
先ず羽田空港ですが、出発の際も到着の際も、電車やタクシーの乗り場とラウンジを除いて、空港の中では階を移動することが全くなく、利用者の利便性をここまで考えたのかと感心してしまいます。
ガルーダ航空が着くのはいつも国際線ターミナルの一番端のため、入国審査まで結構遠いのですが、その間は動く歩道が完備されているため、夜行便から降りた後は体をほぐすのに丁度良いくらいです。
また、機内ではトイレの使用がなかなか自由にならないのですが、到着フロアに設けられた数多くのトイレは、特に高齢者にとっては有難いものです。
そして、税関を出たすぐ目の前に電車の駅があると言うのも、これから新幹線などで国内移動する私にとっては思わずほっとする瞬間です。
次にチャンギ空港ですが、世界に名だたるハブ空港だけあって、ターミナルは年々拡張を続けているのですが、滑走路は35年くらい前の開港当時からいまだに2本のままで、その高度な機能性と合理性には舌を巻いてしまいます。
ただ、開港当初に比べると利用客も格段に増えたのか、まるで新宿駅にいるような賑やかさもあり、当時の静かでゆったりとした雰囲気が感じられなくなったのが少し残念です。
逆に良くこれだけの多くの利用者をスムーズにさばけるのかと感心するばかりです。その秘訣の一つが、申込しなくてもパスポートが自動化ゲートを利用出来るようになるシステムでしょう。これですと、出入国カードも税関申告書も一切不要になるので本当に便利です。
そして最後にスカルノハッタ空港ですが、今年運用が始まった第三ターミナルは『究極の空港』と自称するだけあって、確かに建物は立派過ぎるくらいです。
確か第一ターミナルと第二ターミナルを建設する際にもインドネシアの特徴を出そうとして、現在のような作りになったと聞いています。
確かにバリのホテルを思わせるようなデザインにはなっていますが、しかし空港としてはどうでしょうか。お世辞にも羽田空港のように利用者の利便性を追求しているとか、チャンギ空港のように機能性を追求しているとは言えません。もしかしたら空港関係者の自己満足を優先させたのではないかと思いたくなります。
案の定、ターミナルは刷新されても利用者のことは二の次のようなサービスは以前のままです。搭乗時間になっても明確なアナウンスはなく、席の番号を区切って搭乗順序を案内するような、羽田やチャンギでは徹底されている工夫もありませんから、搭乗してから出発するまでどうしても時間がかかってしまいます。
インドネシアがこれからさらに発展して行く条件として、実はこの空港での問題を如何に解決するのかが一つの見本になると考えています。
その鍵は経営層や指導層にある責任ある人達が、どれだけ現場に足を運んで実態を把握しているのかにかかっていると思います。
取り巻き達に囲まれて、事前に用意された特別なルートをいくら視察しても本当の姿は見えません。一人の乗客として先進的な他国の空港を利用してみれば改善点は直ぐに見つかるはずです。
アセアンの盟主や資源大国という名前に胡坐をかいていてはだめです。インドネシア共和国の指導者達よ、私腹を肥やすことばかりを考えていないで、そろそろ本気で国の指導者としての力を発揮して下さい。