組織体制をどのように考えていますか?
大企業と中小企業がインドネシア進出を検討する場合の一番大きな違いは駐在員候補となりうる人材の有無であると常に実感させられます。
当然のことですが、1,000人の社員から一人の駐在員を出すのと、10人の社員から一人の駐在員を出すのではその影響は全く違います。別の言い方をすると、ほとんどの中小企業では候補者を出す事は不可能に近いのが実態です。
また、仮に候補者が見付かったとしても、大企業のように職種別に複数の人間を出せるはずもなく、一人の駐在員で全ての職種をカバーしなくてはなりません。それは材料調達、製造、販売、経理、税務、労務、法務、場合によっては輸出入と、会社経営全般に及び広範囲となります。
異なる言語、文化、習慣の異国の地で、これまで実務経験のない仕事を管理監督しながら事業を回して行くというのは、並大抵の体力、気力、知力では叶わないことを予め理解しておかなくてはなりません。
その上で、現地法人のトップを確保する手段として、具体的には以下の様なことが考えられます。
①本社内から人選する
現地法人が例えば製造会社であればやはり製造のことを理解している人が適当ですが、それ以外の職務についても勉強して覚えようとする意識が高ければやり遂げることが出来るでしょう。また、インドネシア語の勉強も必要となりますので、ある程度の実務経験を積んだ、しかしまだ若い30代の元気のある人が理想的でしょう。自分自身のことを振り返って見ても、なによりも体力があり、そして気力に溢れていれば、必要な知識はいくらでも習得出来るものです。
②現地駐在経験者を採用する
帰国辞令が出たけれども個人的な理由からインドネシアで継続して働きたい日本人や、定年退職で帰国したけれども再度インドネシアで働きたい日本人は結構たくさんいます。
日本国内の大手のリクルート会社はほとんどがインドネシアに拠点を持っているため、そこに紹介依頼するのが最も簡単な方法です。
1ヶ月から2ヶ月くらいの間に採用条件に適う候補者を数人紹介してもらえ、面接までの段取りを取ってもらえますが、採用になった場合は初任給の3ヶ月分を謝礼として支払うのが一般的です。
上手く行けば同業界での実務経験があり、かつインドネシア語も流暢と言う人材に巡り合えるかもしれません。しかし、社内の人材と違い、その人の本当の実力や性格はある程度時間が経たないと判らないというリスクはあります。
また、既に定年退職を過ぎた人は年齢的に時間の制約があるため、採用と同時に後任者の教育も併行して担当してもらうなどの工夫が必要です。
③当初からインドネシア人に任せる
割と稀なケースですが、現地法人設立当初からインドネシア人のトップに任せている日本企業もあります。もちろん定期的に本社から社長がやって来て監督指導も行っているようです。
但し、偶然にこのような人材に巡り合えることは難しいので、日本に留学している間にインターンとして本社に迎え、卒業後は何年か本社での仕事を経験してもらうなどの対応を取っています。
この方法ですと、ある程度の時間をかけて本人の実力および性格を見ることが出来るので、現地にてリクルート会社を通じて採用するのに比べてリスクは大分低くなると思います。
この場合に気を付けなくてはいけないこととして、国籍はインドネシアですがあくまでも日本人と同等の処遇で駐在してもらうことです。それを保証してあげないと、折角の人材を現地の他の会社に簡単に引き抜かれてしまうでしょう。
この後はいずれの場合でも、トップの人材の目途が立ったところで、その人間をサポートするのに必要な能力を持った各職種のスタッフを採用して組織化することです。
また、組織化を計画する際には人員配置を考えるだけではなく、操業開始前の事前教育、その後の長期的な人材育成計画も併せて考えることが大事です。