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2018.04.06 コンサルタントの独り言

普段何をしているの?と聞かれてしまう

 インドネシア進出支援コンサルタントと言うのが私の肩書であるが、時々『普段何をしているの?』と聞かれることがある。また、『その仕事をするにはどんな資格や能力が必要なの?』と聞かれることもある。
 仕事は一言で表現すると、インドネシアに進出しようとしている企業の本社側の責任者や現地法人の責任者に寄り添って、現地での事業が成功するまでにあらゆる分野での計画、実行、課題解決に助言を与えることである。そのためには必要に応じて一緒に現地を訪問することも度々ある。
 具体的には、現地に製造会社を設立する場合は、進出の是非のFS、長期事業計画と戦略の立案、合弁相手の開拓、会社設立、用地取得、工場建屋建設、材料サプライヤ開拓、販売ルート開拓、人材採用、管理システム構築など対象業務は企業経営に求められる全ての分野に及ぶ。
 これらに必要な知識は机上の勉強で得たものもあるが、多くはヤマハのインドネシア工場駐在時代に生産課長そして工場長という仕事を通じて得られたものと、コンサルタントとして独立してからの実務経験を通して得られたものである。
 私にとって強みとなっているのは40年近くに及ぶ上記の実務経験の他に、インドネシア語を話す、聴く、読む、書くことにほとんど苦労しないレベルに達しており、プロの翻訳、通訳としても仕事が出来ることである。インターネットが発達したお蔭で、日本にしてもインドネシアのテレビニュースを随時視聴出来ることはこの能力を維持向上するために大変役立っている。
 そして帰国後一時関わっていたサプライチェーン・マネージメント分野での経験も予想以上に役立っている。サプライチェーン・マネージメントは企業の経営業務そのものであり、それを如何に科学的に改善すべきかという非常に体系的な考え方であるため、上記の会社設立プロセスのほとんどの局面において参考となり、特に管理システム構築においてはとても重要なツールとなる。
 しかしながら、毎日このような実務面の仕事に没頭している訳ではない。色々な情報に接することがコンサルタントにとってとても大事な仕事である。なぜなら、実務面の仕事をいくらしっかり進めていても、外部環境の影響によりその会社の運命も大きく変わってしまう可能性があるからである。
 インドネシアはG20のメンバーでもあるようにGDPでは全世界の20番以内に入っており、2030年には10番以内を目指すとしている。しかし依然として発展途上国であり、チャンスが多いのと同時にリスクも多い。よって、政治、経済、社会の動向には常に注視していなくてはならない。ここでのインターネットの存在とインドネシア語の能力は非常に大きい。
 そして今の世の中はインドネシア一国だけで完結出来るはずもなく、世界の動きに影響されるのは言うまでもないことである。これは日本も同様である。
 世界がこれからどのように動いていくのか、それを無視してインドネシアがどうなるのか、そしてインドネシアに進出する日本の企業はどうすべきなのかを考えても、特に長期戦略を練る際には机上の空論になってしまいかねないのである。
 そのため、私の毎日の時間のかなりの部分は世界の、そしてインドネシアの政治、経済、社会に関する様々な情報に接して、今後どうなるのかを考えることに充てられている。そのために年間100万円くらいをこれら情報収集に支払っている。この時に思うのは、悲しいかな日本の地上波テレビと新聞は正しい情報を得るために全く役に立たないことである。