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2018.04.07 最近のニュースに私的コメント

インドネシアのヘイトスピーチ問題

 前ジャカルタ特別州知事のアホックは、自身の選挙演説の中で『あなた方はイスラム教徒であるから、キリスト教徒の私には投票しないだろうが・・・』と語ったとして、イスラム教を冒涜した罪を問われ禁固2年間の判決が下された。刑に服してから既に1年くらい経つと思うが、その間に知事としての職を失い、奥さんの不倫が原因で離婚の憂き目まで味わっている。現大統領が知事の時に副知事として支えた、盟友であるはずのジョコウィ氏からも表立った救いの手は無く、このまま刑期を全うするのだろう。
 そして今度は初代大統領であるスカルノ氏の三女スカワティ氏に対する批判が猛威を振るっている。氏は自身の誌の中で『私はイスラムのシャリア(イスラム法)を知らないが、インドネシアの結った髪(まげ)はとてもきれいで、チャダル(目以外を覆うベール)よりも美しい』、そして『ンドネシアの歌はとても麗しく、アザーン(礼拝の呼びかけ)よりも美しい』と語ったと言うのである。このこともイスラム教を冒涜しているとして有罪にすべく大規模なデモが行われた。本人はインドネシアイスラム学者協議会の議長に会って許しを請い、議長はそれを受け入れたが、非難している人達は許しても良いが有罪であると主張している。
 この二件はいわゆるヘイトスピーチに対する処罰と言えるが、日常生活から宗教が遠のいてしまった日本人にはなかなかピンと来ないかもしれない。また、昨今の日本で議論されているヘイトスピーチ問題とは質が違うようにも感じられる。
 しかしこの事件の真意は何か他のところにあるような気がしてならない。それが華人系インドネシア人の排除目的なのか、最近異常な勢いで浸透して来ている中国共産主義(スカルノ一派は共産主義との噂もある)への反発なのか、イスラム急進派の勢力拡大の一端なのか、来年に迫った大統領選挙で親中派と言われる現大統領を不利にするための工作なのか・・・・・。2019年10月の大統領選挙にかけて国民が分断されて混乱に陥らなければ良いのだが。