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2018.04.17 インドネシア進出を検討している社長さんへのメッセージ インドネシア進出準備

インドネシア進出に必要な時間とお金

 ここではインドネシアに製造会社を設立して国内販売を行うケースを前提に説明します。もちろん、時間とお金は事業の形や内容により異なりますが、これまでに経験した全ての要件を羅列してみますので、自分会社に当てはまると思われる項目を選択してもらえれば良いかと思います。

【時間編】

 ここ10年間に日系企業が投資申請してから操業開始までに要した平均時間は17ヶ月です。投資申請の前には現地調査などのFSをしているでしょうが、それは企業によりかなり幅があり、1年くらいで済ませるところから永遠に検討を続けているところまであります。
 投資申請をしてから会社登記完了まではインドネシア政府のホームページを見ると一二週間で出来るようになっていますが、これは全ての書類が既に揃っていることが前提で、実際は色々な書類の準備に手間がかかり、2ヶ月から3ヶ月は必要と考えるべきでしょう。
 会社登記が終わったところで操業準備にかかりますが、一番時間がかかるのは工場建設です。会社登記の前に業者選定のための一連の作業を済ませておくとしても、着工から引き渡しまでは8ヶ月以上を見ておく必要があります。
 この間に機械の輸入手配、材料サプライヤとの契約、販売先との契約、駐在員のビザ取得、従業員の採用などを済ませておくのが理想的で、全てがスムーズに進めば機械の設置、試運転、試作に3ヶ月を要したとしても、上記の会社登記3ヶ月、工場建設8ヶ月を合わせて14ヶ月で操業開始に漕ぎ着けるはずですが、平均17ヶ月との差の3ヶ月は予期しないトラブルで遅れがあったものと推測されます。
 事例の中には30ヶ月に及ぶものもありますが、これは何か大きな問題が起きたものと推測されますが、諦めずに操業開始まで持って来れたのは、担当者の強い意志が大きな要素と思われます。
 工場用地の買収またはレンタル工場の契約は会社登記が終わる前に済ませておくことを前提にしていますので、14時間の中には含まれていません。しかし、候補地調査から買収契約までに3ヶ月と仮定すると、それに建設前の一連の作業3ヶ月を加えると、少なくとも操業開始の14ヶ月前には候補用地の調査を始めていなくてはなりません。
 また、もしも本社の社長が自らこのプロジェクトを担当するのであれば、この間は毎月の様に現地に出張する必要があり、月の1/4は本社を留守にするくらいの覚悟が必要です。

【お金編】

 インドネシアに外国資本が1%でも含まれる会社を設立する場合は、いわゆる外国投資会社(PMA)と見做され、海外からの借入金も含めた総投資額は100億ルピア(約1億円)以上で、資本金はその1/4以上で最低25億ルピア(約25百万円)が前提条件となります。
 投資計画が認可され会社が登記された後は、3年間にわたりこの100億ルピアを活用して投資計画を実現することになります。
 100億ルピア全額をすぐに現金で用意する必要はありませんが、会社登記のためには資本金だけは新たに開設した現地法人の銀行口座に振り込まなくてはならないため、最低25億ルピア(約25百万円)は現金で用立てしなくてはなりません。
 製造会社の場合は土地買収、工場建設代金、機械購入代金などに多くの金額が充てられるのが普通ですが、FSを始めてから操業開始までは色々な費用が発生し、ややもすると当初の資金が足りなくなることがあるため、ここではその間にどのような費用が発生するのかを説明します。
 出張費用:時間編にも書きましたが、社長が直接担当しないまでも誰かは毎月のペースで現地に出張することになります。出張期間を1週間とした場合、飛行機代(エコノミークラス)、ホテル代(ビジネスホテル)、その他費用を合わせて、1回当たり20万円は必要でしょう。これは本社の経費で落とすことも可能でしょうが、現地法人が設立された後は受益者である現地負担とするように国税庁から指導を受けることがあります。
 レンタカー費用:現地出張期間中は色々な処を訪問する訳ですが、日本の様に公共交通機関を駆使してという訳にはいきません。そこでレンタカーを契約することが多いのですが、1日終日使うと総額で1万円くらいになります。
 許認可費用:会社設立手続き、輸入許可取得手続き、外国人ビザ取得手続きなどインドネシアでは未だに多くの許認可業務があるため、専門の代行会社に一任するのが普通ですが、この費用に100万から120万円くらい必要となります。
 公証人費用:インドネシアでは合弁契約書、土地売買契約書など公式な契約を結ぶ場合はNotarisと称される公証人に契約書を作成してもらい認証してもらうのが普通ですが、1件当たりだいたい20万円くらいは請求されます。
 建築許可申請費用:工場建屋を建設する際には工事に取り掛かる前に建築許可申請をしなくてはなりません。手続きは建設業者が代行してくれますが、その申請費用として建物の規模により変わりますが最低でも100万円は必要となります。
 会計士費用:会社が登記された時点から会計処理と毎月の税務報告が必要とされますが、普通はまだスタッフも確保されていないため、外部の公認会計士に委託するケースが多くあります。会計士にもピンからキリまでありますが、ローカルの小さなところでも月に5万円くらいは請求されます。
 リクルート費用:一般ワーカーを募集するのにはさほど費用はかかりませんが、幹部社員の募集をリクルート会社に依頼すると採用の暁には初任給の3ヶ月分を報酬として支払うことになります。もしも現地で日本人を採用した場合は150万円くらいはかかるでしょう。
 日本研修費用:操業開始に先立ち、生産現場のリーダー候補を日本の工場で事前に研修を受けさせるケースが良くあります。3ヶ月以内であれば日本入国のための研修ビザが割と簡単に取得出来ます。それにかかる必要としては旅費10万円の他に滞在費用および研修手当として月に20万円くらいは必要と思われます。
 開所式費用:工場建設工事を始める時の安全祈願祭は工事業者が主催しますが、完成した後の竣工式あるいは操業開始後の開所式は現地法人が主催することになります。全く何もしない、あるいは社内の関係者だけで慎ましくという選択肢もありますが、絶好の公告宣伝の機会として活用することも選択肢の一つです。開催する場合はその規模や内容により千差万別でしょうが、100万円単位で考えておくべきでしょう。