インドネシア大統領選挙の結果で何が変わるのか?
毎日のように現地発の大統領選挙に関するテレビニュースをインターネットで視聴していますが、現職のジョコウィ大統領が優勢の中に逃げ切るのか、それとも終盤になって支持率を上げて来ているプラボウォ氏が逆転するのか、結果は投票箱を開けてみるまで判りません。
しかし、インドネシアで事業展開をしている日系企業や、インドネシアに関わる事業をしている日本の会社にとって、大統領選挙の結果は今後の事業にどのような影響を与えるのか気になるところでしょう。
そこで今回は、どちらが大統領に選ばれるとしても、これからのインドネシア政府にとっての重要な選択肢として、どのような要因があるのかを考えてみたいと思います。
【国際政治の選択肢】
今後の米中対立の中で、アメリカ寄りの政策を取るのか、それとも中国寄りの政策を取るのか、あるいは中立的な立場を貫くのか。もしもアメリカ寄りの政策を取るのであれば、スハルト政権以降続けて来た路線から大きく外れることはないでしょう。
もしも中国寄りの政策を取るのであれば、日本、台湾、マレーシア、インド、オーストラリアと言ったアメリカ陣営と、マラッカ海峡を初めとする中東からの石油のシーレーンの安全保障を巡り軋轢を起こすのは必須です。
【国内政治の選択肢】
政教分離をより薄めてイスラム教組織の政治勢力が強まるのか、それとも建国五原則を守りインドネシアらしい民主主義を追求するのか、大きな岐路に立たされているような気がします。
世界最大のイスラム教徒を抱えるインドネシアは、中東で蠢いているスンニ派とシーア派の勢力争いから免れることは非常に難しいと思われます。
インドネシアの国益を最も損ねているのは益々盛んになりつつある汚職でしょう。独立機関である汚職撲滅委員会KPKの活躍で、やりたい放題とまでは行きませんが、国の隅々まで浸食していることは間違いないでしょう。
大鉈を振るって、我が身に返り血を浴びてでもこの病を断ち切る覚悟があるのか、それともこれまでのようなガス抜き程度の対策でお互いに騙し合うことを続けるのか、そろそろ覚悟を決めないとアセアンの盟主として居続けるのは難しくなるでしょう。