2019.04.24
コンサルタントの独り言
日本は中小企業の育成に寄与すべき
日本の中小企業のインドネシア進出を支援していてつくづく思うことは、日本の製造業は中小企業の存在で成り立っているということです。
中小企業庁のデータによると、中小企業の数は全体の421万社の99.7%、従業員数は4千万人の69%を占めるとされています。
インドネシアにおいては中小企業の従業員数は全体の95%というデータもあり、その割合は日本を上回っていると思われます。
しかし、技術レベルにおいてはどうでしょうか?
日本は明治維新の後、富国強兵の名の下に急速な工業化を推し進め、300年前に産業革命を実現した欧州列強に瞬く間に追い付くことが出来ました。
その下地になったのは、江戸時代から続いた寺子屋での学習と、士農工商(これは階級制度というよりは社会の分業制度と言った方が良いのかもしれない)の下で独自の発達を遂げていた技術であったと思われます。
一方でこの時代のインドネシアは、不幸なことにオランダの植民地政策の下、他の植民地と同様、一部の特権階級を除いて学習の機会は無く、自分達で技術を発達させる機会もありませんでした。
1945年に独立を宣言し、その後3年間の独立戦争に勝利した後も経済面では苦難の時代が続き、1968年にスハルト大統領が政権を持ってからようやく工業化の動きが始まったと言っても良いでしょう。
この歴史のギャップを速く埋めるためには多大な努力が必要ですが、世界で唯一つ、奇跡的に植民地にならなかった日本は、インドネシアを始め東南アジア諸国に対して、官民が協力して産業の裾野である中小企業の技術レベルの向上に貢献すべきと痛感します。