OSSシステムの実態
2018年6月にジョコウィ大統領の肝いりで導入された投資手続き簡素化対策、OSS (Online Single Submission)システムを使っての新規投資案件にいくつか関わって来ました。
このシステムはその名の通り、投資調整庁BKPMのホームページ上で、新規あるいは拡張投資に必要な下記の主要な許認可を申請出来ると言うものです。
1.事業許可 Izin Usaha
2.用地許可 Izin Lokasi
3.環境許可 Izin Lingkungan
4.建物建設許可 Izin Mendirikan Bangunan Gedung (IMB)
5.操業/商業許可 Izin Operasional/Komersial
事業者は会社を設立登記した後、OSSシステムで事業識別番号Nomol Induk Berusaha (NIB)を取得します。
また、このNIBは同時に下記の番号としても有効となります。
1.会社登録証 Tanda Daftar Perusahaan (TDP)
2.輸入者認定番号 Angka Pengenal Importir (API)
3.税関アクセス番号 Nomor Induk Kepabanan(NIK)
4.納税者番号 Nomor Poko Wajib Pajak (NPWP)
5.外国人労働者雇用計画書 Rencana Penggunaan Tenaga Kerja Asing (RPTKA)
6.労働社会保険BPJS加入登録証明
ここまでは確かにSingle Submissionです。
しかし、これらOSSシステムで自動発行される許認可や番号は、関連する法律により定められた色々な書類を揃え、条件をクリアして、必要とされる国庫への支払を済ませたところで初めて有効となるのです。
では以前の手続きと何が違うのでしょうか?
それを簡単に書いてみると以下の様になります。
【以前の流れ】
投資申請
↓
投資原則許可
↓
会社設立登記
↓
操業開始準備
・工場建設
・設備手配
・人材採用
・輸入許可
・外国人ビザ申請
↓
事業許可申請
↓
商業活動開始
【OSSの流れ】
会社設立登記
↓
NIB取得
↓
主要許認可自動取得(仮)
主要証明番号自動取得(仮)
↓
操業開始準備
・工場建設
・設備手配
・人材採用
・輸入許可
・外国人ビザ申請
↓
書類整備
条件クリア
国庫への支払
↓
自動取得許認可、番号有効
↓
商業活動開始
一言で表現すると、会社設立登記を先に済ませてNIBを取得することで、主要な許認可と証明番号はOSSシステムで自動発行されると言うことです。
しかし、それらが有効となるには従来通りの色々な書類を揃え、条件をクリアし、そして国庫への支払を済まさなくてはなりません。
言い方を変えると、主要な手続の窓口はOSSシステムに集約されたが、肝心の許認可の数は何も減っていないことになります。
昨日、ジョコウィ大統領は大統領官邸に公証人達を集め、投資に関する手続きを簡素化するための激を飛ばしたようです。
そうなのです!!
問題なのは許認可の数が多過ぎるのです。そしてそれらが複雑に関連し合っているため、手続きの途中で立ち往生してしまい操業開始までの時間が他のアセアン諸国に比べて二倍も三倍もかかっているのです。
問題の本質は何も解決していないのです!!!
その証拠が113ページ!!!に及ぶOSSシステムの最新のユーザーズマニュアルです。
こんなマニュアル、誰が読みたいと思いますか?
簡素化すると言いながら分厚いマニュアルを作成するところにインドネシア政府の本質が見え隠れします。