首都移転に対する期待と懸念
ジョコウィ大統領は歴代の大統領が課題として来た首都移転計画を具体的に進めると明言しました。
2020年から2025年の次期国家戦略の中に盛り込むとして、候補地の視察を始めていますが、最初に訪問したのが、中部カリマンタン州のパランカラヤ市とカティンガン県、そして東部カリマンタン州のカルタヌガラ県です。
パランカラヤ市は中部カリマンタン州の州都でもあり、地理的にインドネシア全土の中央に位置するため、初代のスカルノ大統領時代から移転先として何回か取り上げられた街です。
街の中央にはジャカルタのメインストリートであるタムリン通りとスディルマン通り、そしてそれを繋ぐ大きなロータリーを彷彿させるような道路があり、ジャカルタも昔はこんな様子だったのかもしれないと想像させてくれます。
現副大統領のカラ氏は、移転には10年から20年の歳月と、巨額な資金を必要とするから簡単な話ではないと慎重な姿勢を示しています。確かにそうでしょう。
移転の一つの理由として挙げられているのが交通渋滞ですが、生まれた土地から移ることを嫌うジャワ人の民族性を考えると、首都機能は移ったがジャワ島の人口集中は解決されず、渋滞解消にもならなかったとなるような懸念もあります。
また、巨額の資金を中国から借りるような話もあり、おいおい、そんなことをして首都を担保に取られたらどうするのかと心配になります。ジャカルタ-バンドンの新幹線で苦労していることを何も学習していないのかと言いたくなります。
しかし、もしも首都がカリマンタンのどこかに移転して、それを契機に未開発の無限の天然資源や観光資源が『適切』に活用されれば、インドネシアの経済成長にとって莫大な好機がやって来るものと期待されます。
何にしても底知れぬ可能性を秘めた国だと思います。