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2020.05.01 インドネシアでの仕事のアドバイス

抜群の視力が仇に

インドネシアの人達、特に工場の現場で働く人達は、当時は日本ほどテレビが普及していなかったことも幸いしていたのか、メガネをかけている人がほとんど無く、視力も抜群に高かったようです。

その結果、製品の目視検査では日本人の指導員も発見出来ない小さな傷を、いとも簡単に見つけ出して不合格にしていました。

ところが、その基準が次第に厳しくなり、不良率が異常に高くなったことから原因を調査したところ、抜群の視力がその理由であることが判りました。

また、初めて採用された会社で、日本から来ているベテランの技術指導員から直々に指導を受けた作業員たちは、そのことをとても誇りに思っており、自分達の尊敬する師匠の教えをしっかり守り、自分の目の黒いうちは絶対に不良品を後工程に流さないと、強い決意を持って日々の仕事に励んでいたようでした。

ある高額商品の最終検査工程にそれの典型的な人がいました。

やはり日本からの技術指導者に厳しく仕込まれ、そして大変可愛がられた経験を持っていました。

彼が出す合格基準は年々厳しくなり、性格も頑固であったことから、工場長であった私とも良く口論したものでした。

しかし、その責任感の強さを評価してその仕事は続けてもらっていました。

ある時などは、視力が落ちたので眼鏡をかけると言うので、お前は眼鏡なしで普通の人間だらしなくても良いと冗談を言ったほどでした。

しかし、何年か経った時に、彼が廃品回収業者と結託して会社の部品を横流ししていることが発覚してしまい、最終的には規則に従って解雇処分となった次第でした。

その時に彼が最後まで自己弁護のために主張していた台詞、『俺の目がこの会社の品質を支えて来たのだから、特別に許してくれても良いではないか』、を今でも忘れません。