2021.01.29
最近のニュースに私的コメント
非イスラム教徒の女生徒にヒジャブを強制したことに対する危惧
スマトラ島のパダンにある高等学校の先生が、非イスラム教徒の女生徒に対して、イスラムの教えに従って髪の毛を覆うスカーフ、いわゆるヒジャブを強制したとして問題になりました。
因みに、全身を覆い隠すのはジルバブと呼ばれます。
インドネシアの国民2億7千万人の約9割はイスラム教徒で、世界最大のイスラム教徒を抱える国であることは間違いないのですが、憲法の上位にある建国五原則によって、ユダヤ教など特定の宗教を除いて、宗教の自由は保証されているはずです。
宗教や言語を多数派が少数派に対して、数の力で強制することで国内の分断と争いを起こすことになった例は世界に少なくありません。
インドは宗教対立からパキスタンとバングラデシュが分離独立することになり、国内の言語も多岐にわたったままです。
インドネシアは独立に際して多数派であるジャワ人を優先して、イスラム教を国教に定めるとか、ジャワ語を公用語にすることは敢えて避けたと聞いています。
もしそのようにしていたならば、もしかしたらインドのような混乱を起こしていたかもしれません。
独立時の国の指導者達は叡智を持っていたと評価すべきでしょう。
しかし、その叡智を忘れて多数派が数の力で少数派を支配しようと試みるならば、国是であるBhinneka Tunggal Ikaすなわち『多様性の中の統一』が危機に晒されることになると危惧しています。