インドネシア民主党のお家芸となったクーデター

2021年3月5日、インドネシア民主党(PDI:Partai Demokrat Indonesia)が内部でクーデターを起こし、元党首でもある元大統領Susilo Bambang Yudhoyono氏の息子Agus Harimurti Yudhoyono氏を党首の座から追い出し、Joko Widodo大統領の主席スタッフを務めるMoeldoko氏を新しい党首に指名したとのニュースが流れています。

インドネシア民主党はスハルト政権の時代は、支配的な与党である職能グループ党(GOLKAR:Golongan Karya)の他に、開発統一党(PPP:Partai Persatuan Perkembangan)と共に、民主主義を繕うために形式的に認められた二つの野党の一つでした。

インドネシア民主党は1993年に当時の党首であったMegawati Sukarnoputri氏をクーデターで追い出し、Megawati氏はその後インドネシア闘争民主党(PDI-P:Partai Demokrat Indonesia Perjuangan)を創設して党首になりました。

Megawati氏は初代大統領Sukarno氏の長女で、Yudhoyono氏が国民の直接選挙で選ばれる直前の大統領も務めた大物政治家で、現在はJoko Widodo大統領の支持基盤与党としてインドネシア国会でも575議席数の中128議席と最大勢力を占めています。

1993年と2021年の二回のクーデターで追い出された党首はいずれも元大統領の娘・息子というのが何とも皮肉な事実です。

約30年の時を経て、Megawati氏が自分を追い出したインドネシア民主党に、復讐をしたのではないかと、つい疑ってしまいたくなります。