2021.03.11
コンサルタントの独り言
技能実習生の光と影
1980年代の前半だったと記憶していますが、駐在していたインドネシアの工場に、浜松にある丸高木工という会社の須藤会長が訪ねて来ました。
大東亜戦争で当時のインドネシアに進駐している間に、現地の人達にとてもお世話になったので、そのお返しをしたいと考え、浜松にある自社工場だけでなく、知り合いの会社にも協力してもらい、インドネシアの若者を3年間技能実習生として受け入れて、生産技能と日本語を身に付けさせていると語っていました。
この活動は日本インドネシア技術協力協会の名の下に続けられ、11年間に36名のインドネシア人の若者を受け入れたと記録されています。
私の居た工場でもその経験者を一人採用し、生産管理のスタッフとして定年まで働いてもらいました。
また、インドネシアに帰国後、木工加工の工場を開設した人間もいて、そこには仕事を外注したこともありました。
その後1990年代に入ると、日本は構造改革の名の下に社会構造が大きく変わり、産業界は安い賃金で使える技能実習生と言う名の外国人労働力を求めるようになりました。
中には人権を無視したような悪徳な派遣機関や受入団体があり、社会的な犯罪として問題になりまたが、名目的に制度を変えることでさらに拡大し今日まで来ています。
現在日本に滞在している技能実習生は30万人を超えていますが、ベトナム人と中国人がそれぞれ35%強で全体の75%に達しています。
残りの国籍もほとんどがアセアン諸国で、インドネシア人は8%くらいでしょう。
世界で同様な制度で技能実習生を受けている国は、他には韓国とドイツです。
韓国は名実ともに外国人労働者として受け入れているため、逆に日本に比べて自由度が高いため、技能実習生の間では評判が良いと聞いています。
ドイツは徒弟制度の一環で技能実習生を教育しているそうで、如何にもドイツらしいのですが、本音としては移民受入政策の失敗で安い労働力が不足しているところを、この制度で補おうとしているのではないかと疑われます。
今後は、日本、韓国、ドイツの三国で技能実習生の奪い合いが起こるかもしれませんが、昨今の各国の経済成長を見ていると、長い間成長を止めている日本は案外早く脱落してしまうかもしれません。
さらに悪い事には、私たちの孫の世代には、仕事の無くなった日本から外国に、労働力として出稼ぎに行くことになるかもしれません。
少なくとも今の日本の政治家や官僚はその方向に国を向かわせています。