2021.12.03
最近のニュースに私的コメント
真価を問われるジョコウィ大統領
2020年11月20日の国民代表議会にて突然のように可決された雇用創出法は、関連する多くの法律を一括して変更するオムニバス法案と言われ、その分量は1000ページを超えるものでした。
その後、2021年3月にかけて施行法案が出され、その数は5本の大統領令、61本の政令、32本の大臣規定に及んでいます。
その題名と内容を読んでみると気が付くのですが、ほとんどが投資促進を目的としたもので、そのために最低賃金見直し方法や退職手当支払月数などの面で労働者が不利になっており、発表される以前から労働組合や学生団体などからは法案に反対する意見が出されていました。
ジョコウィ大統領としては投資を促進することで雇用機会を増やせるから、労働者のためになると言いたいのでしょうが、それを雇用創出法と言う聞こえの良い名称にして、国民の目を誤魔化そうとしたのかもしれません。
しかし、2021年11月25日にインドネシア憲法裁判所が、この法律は成立のプロセスが違法であるとの判定を下したことで、1%台と言われる来年の最低賃金見直しを巡って各地でデモを繰り広げている労働組合は、我が意を得たりと活気づいています。
首都ジャカルタのアニス知事も労働組合代表との直接会話で、2024年の大統領選挙を意識しているのか、来年の最低賃金見直し規定には同意出来ないと火に油を注ぐ発言をしています。
残る任期が3年を切ったジョコウィ大統領には次から次と難題が降り掛かって来ている様子ですが、ここで自身の面子と保身を優先するのか、それとも庶民上がりの政治家としての初心を貫くのか、真価を問われる3年間になりそうです。