2022.02.14
最近のニュースに私的コメント
ジョコウィ政権はスハルト政権に似て来た?
KOMPASTVでジョコウィ政権はスハルト政権に似て来たとの意見を伝えていました。
私自身はスハルト政権下の1981年から1995年にインドネシアに滞在していたので、スハルト政権がどんなものであったのかは体験的に憶えています。
当時のテレビは国営放送のTVRIだけでしたが、そこに映し出されるスハルト大統領は、軍事独裁を背景に30年の長期政権を運営して来た自信に溢れる人物でした。
色々な批判とか陰謀説は尽きませんが、1965年の共産クーデターを鎮圧してインドネシアの共産化を防ぎ、その後は外資導入を梃に経済成長を実現させた辣腕は評価されてしかるべきでしょう。
その反面、反政府の勢力や人物を力で抑え、家族や取り巻きによる利権の支配を放置したのは責められても仕方ないことでしょう。
規模は小さいと言え、現在のジョコウィ政権に似たような傾向があると言えば確かにあるでしょう。
8年も大統領職を持ち続けたら、本人がどうと言うよりも周りがその立場を利用して利権を手にしようしない方が不思議です。
この問題で真摯に考えなくてはいけないのは、誰の立場で両氏のことを評価批判しているのかです。
もしも欧米の規範を基にしているのであれば大きな過ちを犯すでしょう。
現在の世界では民主主義が最良の社会制度として認められていますが、欧米の民主主義がそのままインドネシアの民主主義であるとするのは極めて乱暴な判断です。
例えば、インドネシアの色々な法律にも引用されているMusyawarah Mufakat、即ち全員が合意するまで話し合うという習慣は、物事を多数決で決める欧米の民主主義とは明らかに異なるのです。
そもそもキリスト教をベースにした欧米の民主主義が、イスラム教をベースにしたインドネシアの民主主義に一致するとは思えません。