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2022.12.29 最近のニュースに私的コメント

臭いものには蓋をする文化

KPKOTT

海洋・投資担当調整大臣のLuhut氏が再度、汚職撲滅委員会KPKによる逮捕作戦(OTT)を強く批判している様子がテレビニュースで報じられていました。

政府高官や著名人を汚職容疑者として手錠をかけて晒し物にする様子は、他の先進国では見られない制度で、インドネシアとして恥ずかしいと言うのが理由のようです。
しかし、なぜLuhut氏がこのような発言をするのか不思議です。
氏は海洋・投資担当調整大臣で、その管轄はエネルギー・鉱業資源省、運輸省、海洋・漁業省、観光・創造経済省、そして投資省です。
法律の問題であれば本来は政治・法務・治安担当調整大臣が管轄するはずです。
コロナ対策の時も保健省などを管轄する人材開発・文化担当調整大臣ではなく、Luhut氏でした。
そして先のG20バリ会議を仕切っていたのも外務省などを管轄する政治・法務・治安担当調整大臣ではなくLuhut氏でした。
要するにジョコウィ大統領が直々に関与する問題には必ず海洋・投資担当調整大臣のLuhut氏が登場するのです。
と言うことはLuhut氏はジョコウィ大統領の本心を代弁する立場にある訳ですから、ジョコウィ大統領が汚職撲滅委員会KPKを無くそうとしているのでしょう。
2000年頃に完全独立機関として汚職撲滅委員会KPKが設立された時は、警察や検察があるのに屋上屋を重ねる変な組織だと思ったのですが、警察、国軍、そして検察や判事に至るまで汚職疑惑で逮捕されるのを見て、なるほどと納得したものでした。
しかし、やはり政界からは煙たがられて、最近は何かと苛めを受けて、権限や人材を剥奪されることが続いて来ました。
そしてここに来て『他の先進国では見られない制度』、『恥ずかしい』などの理由でこの機関を非難するのは、一体誰にとって恥ずかしいことなのかと疑ってしまいます。
色々な国際会議の常連みたいになり、先進国の仲間入りを目指すジョコウィ大統領の面子を忖度しての非難であるならば、ジョコウィ政権になってから益々酷くなっている汚職は、隠すのではなく取り締まることが重要なはずなのに、臭いものには蓋をする、インドネシアの文化そのものと言わざるを得ません。