2024.06.16
最近のニュースに私的コメント
ジョコウィ大統領の人気は衆愚政治の現われか
2024年11月に予定されている州・県・市の首長選挙では、先の次期大統領選挙の時に、ジョコウィ大統領の長男を誰が副大統領候補に指名するのか話題になったのと同様に、いずれのジャカルタ州知事候補がジョコウィ大統領の次男を副知事に指名するのかが一番の話題になっています。
理由は明確で、残りの任期が4ヵ月しかないジョコウィ大統領の人気は未だに高く、支持率は70%以上を維持しているため、彼の次男を副知事に指名することで、特に若者の票を集められるからです。
このことは先の次期大統領選挙で、ジョコウィ大統領の長男を副大統領に指名したプラボウォ候補が、初回の投票で60%近い得票率を得て当選したことで証明されています。
それでは何故にジョコウィ大統領の人気は高いのでしょうか?
なんと言っても、10年前にジャカルタ州知事の任期半ばで、民主主義のシンボルとして大統領選挙に立候補して、僅差でプラボウォ候補を破ったことがその理由を示しています。
これまでの、いわゆる貴族階級から出て来た大統領候補とは異なり、ソロの家具メーカーの跡取りで、世襲の政治家でも、国軍幹部の子弟でもなかったのです。
ソロ市長とジャカルタ州知事の間は、軽装で現場に足を運び、その場で官僚達に指示をする姿が、いかにも庶民派の大統領として期待されました。
確かに大統領を2期10年務めた間には、ジャワ島縦断高速道路の貫通、ジャカルタ-バンドン間の高速鉄道の開通、各地の都市での新空港の開設、そして新首都移転工事の着手など、話題を呼ぶ政策がいくつもありました。
しかし、庶民にとって最も大事なはずの1人当り経済成長、失業率、インフレ率を、ジョコウィ大統領の前任で、国民の直接選挙で選ばれた最初の、ユドヨノ大統領の2期10年間と比べてみると以下の通りで、果たして70%以上の支持率を維持するだけの実績があったのか疑問視されます。
1人当たり名目GDP(IMF統計)
2004年USD1,280
2014年USD3,533(2.76倍)
2023年USD4,942(1.40倍)
失業率(IMF統計)
2004年9.86%
2014年5.94%
2023年5.32%
消費者物価上昇率(IMF統計)
2004年6.06%
2014年6.40%
2023年3.71%
もし、庶民派と言うイメージで、そしてそれを醸し出すパフォーマンスで、国民が支持するのであれば、それは衆愚政治と言わないでなんでしょうか。
ここ1年間の縁故主義全開の姿勢に、大多数の国民が疑問を持たないのであれば、仮に経済大国になったとしても、砂上の楼閣と言わざるを得ないでしょう。