メッカ巡礼割り当て順番待ち40年

2022年のメッカ巡礼は6月5日から始まります。

インドネシアではコロナ以前は毎年210,000人がサウジアラビア政府からメッカ巡礼の割り当て枠を与えられていましたが、2020年以降のコロナ禍で枠が厳しく制限されたため、既に申し込んでいる希望者は最長で40年待ちになると宗教大臣が発表しました。

　

因みにマレーシアはコロナ以前の割り当てが年30,000人でしたが、現在の待ち状態は最長で141年とのことです。

イスラム教徒には主要な戒律として五つの義務が課せられており、その一つが一生に最低一回はメッカに巡礼することです。

労働法では、6年間連続して同一企業に勤続した労働者には、少なくとも2ヶ月の長期休暇が与えられ、この取得に当たっては、7年目と8年目にそれぞれ1ヶ月づつ取得できる、と規定されており、これはメッカ巡礼のための便宜と思われます。

2021年のメッカ巡礼費用はRp.44百万（約35万円）で、普通の日本人にとっては350万円くらの負担になり、豪華客船での世界一周旅行に出かけるようなものです。

以前私が駐在していたジャカルタの工場でも、毎年のように数名がメッカ巡礼で長期休暇を取得していました。

忘れなれないのは、そのために全財産を売り払って費用を捻出した年配の従業員のことです。

そんなことをして帰って来てからどうやって暮らすのかと聞いたところ、そんなことを心配するのは信仰心が足りないからだと一蹴されました。

周囲のイスラム教徒達も同様にあまり心配している様子も無く、出立を祝っている姿には言葉が出ませんでした。